教職基礎論(栄養)-2

短大栄養科 4/22

前回のおさらい

・日本の公教育にとって最も大事な法律は「教育基本法」である。
・教育基本法第1条には、教育の目的が規定してある。
・教育基本法第9条には、教員の義務や責任、立場について規定してある。

教員の服務義務

公立学校の教員は「公務員」。「公務員」の服務義務は法律で規定されている。

服務の根本を押さえよう

(日本国憲法 第15条)
1.公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2.すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

【服務の根本基準】(地方公務員法30条)
すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

「全体の奉仕者」とはどういうことか?

・全国民の利益のために奉仕する者。

・教員の服務義務については、地方公務員法30条以降、8つの服務義務が規定されている。8つの服務義務は、3つの職務上の義務と、5つの身分上の義務に分かれている。

地方公務員法に定める3つの職務上の義務

【服務の宣誓】(地方公務員法31条)
職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。

【法令等上司の職務上の命令に従う義務】(地方公務員法32条)
職員は、その職務を遂行するに当って、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、かつ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

【職務に専念する義務】(地方公務員法35条)
職員は、法律又は条令に特別の定めがある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

地方公務員法に定める5つの身分上の義務

【信用失墜行為の禁止】(地方公務員法33条)
職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

信用失墜行為とは、具体的にどのような行為か?

  • 交通事故、飲酒運転、飲酒運転幇助など道路交通法違反
  • 窃盗、万引きなど刑法犯
  • わいせつ行為、ハラスメント行為
  • 体罰
  • 情報漏洩、個人情報流出
  • 不正経理、公金横領、着服、リベート収受、贈収賄

【秘密を守る義務】(地方公務員法34条)
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

【政治的行為の制限】(地方公務員法36条)
職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、もしくはこれらの団体の役員となってはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。

【争議行為の禁止】(地方公務員法37条)
職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、または地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人もこのような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。

【営利企業等の従事制限】(地方公務員法38条)
職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

教育公務員特例法に定める服務規程

【兼職及び他の事業等の従事】(教育公務員特例法17条)
教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者において認める場合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務に従事することができる。

【公立学校の教育公務員の政治的行為の制限】(教育公務員特例法18条)
公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法第36条の規定にかかわらず、国家公務員の例による。

【研修】(教育公務員特例法21条)
教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に勤めなければならない。

【研修の機会】(教育公務員特例法22条)
教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。
2 教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。
3 教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。

【初任者研修】(教育公務員特例法23条)
公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等に対して、その採用の日から一年間の教諭又は保育教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修を実施しなければならない。

【十年経験者研修】(教育公務員特例法24条)
公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等に対して、その在職期間が十年に達した後相当の期間内に、個々の能力、適性等に応じて、教諭等としての資質の向上を図るために必要な事項に関する研修を実施しなければならない。

服務の宣誓の内容とは?

・公務員として職員の服務義務に従うことを「住民」に対し宣言するもの。
・憲法の尊重、擁護及び公務の民主的かつ能率的運営に資するための全体の奉仕者として誠実かつ公正な職務の執行を誓うもの。

復習

・「公務員」とは何か、整理しておこう。
・「地方公務員法」と「教育公務員特例法」の内容を整理して、服務義務について理解しておこう。

予習

・「公務員」にとって「憲法」とは何か、考えておこう。