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教職基礎論(栄養)-9

▼短大栄養科 6/17(土)

前回のおさらい

・学区制/学校選択制/バウチャー制/学校民営化
・教科書。検定と採択。
・教材研究。

学習評価

・目的→計画→実践→評価
・評価が正しく行われなければ、目的がどこまで達成できたか、改善点がどこにあるかなどを把握することができない。
・子供たちの到達度を把握すると同時に、教師の指導が適切に行われているかどうかをチェックする。
絶対評価(目標に準拠した評価)相対評価(集団に準拠した評価)。それぞれの特質、メリットとデメリット。

指導要録:学校教育法施行規則第24条第1項。各学校の校長は指導要録を作成しなければならない。「学籍に関する記録」と「指導に関する記録」。
内申書:指導要録を原簿として作成し、主に学校間の連絡に用いる。
通知表:特に法的根拠を持たない。主に子供本人や家庭との連絡手段。

診断的評価:これから学習指導を行うとき、学習者の到達点や課題を把握するために行う。
形成的評価:学習指導の途中に、それまでの指導内容を学習者がどれくらい理解しているかを把握し、計画を点検する。
総括的評価:学習指導の終了後に行う。

授業

・先生は授業で勝負。どれだけキャラがおもしろくても、「わかる授業」ができなければ意味がない。
・わかる授業とは、どういう授業か? →教材研究と児童理解。
・「指導案」を練る。「発問」を工夫する。
・「個に応じた指導」の工夫。班分け。
・教師のオーラ。迫力。わかってる感。

主体的・対話的で深い学び

【深い学び】習得・活用・探求の見通しのなかで、教科等の特質に応じた見方や考え方を働かせて思考・判断・表現し、学習内容の深い理解につなげる。
【対話的な学び】子供同士の協働、教師や地域の人との対話、先哲の考え方を手がかりに考えること等を通じ、みずからの考えを広げ深める。
【主体的な学び】学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連づけながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる。

特別の教科 道徳

・教科化の経緯。どうしてなかなか教科化されなかったのか。
・中央教育審議会と教育再生会議の路線のズレ。
・教科化されて何が変わるのか。(1)教科書(2)評価(3)免許
・考える道徳。

教育活動全体を通じて行う

・各教科における道徳。
・特別活動における道徳。
・食育における道徳。

要として

・どうしてことさら道徳科の時間を設定する必要があるのか。
・「要」とはどういう意味か?

豊かな心

・「教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に 基づき、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養う」
・「人間尊重の精神と生命に対する畏敬の 念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、平和で民主的な国家及び社会の形成者として、公共の精神を尊び、社会及び国家の発展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意する」

復習

・「評価」の意義を押さえておこう。
・道徳の教科化によって、何がどう変化したか、押さえておこう。

予習

・「健やかな体」について調べておこう。

教職基礎論(栄養)-8

▼短大栄養科 6/10(土)

前回のおさらい

・「生きる力」と「知識基盤社会」。
・OECDのPISA調査の枠組み=キーコンピテンシー。
・いわゆる「ゆとり教育」の意義。

学習指導(前回のつづき)

ゆとり教育

・個性を伸ばす。どのようなメカニズムで個性を伸ばすのか? 個性を伸ばすのは、そもそも良いことか?
・格差が拡大する。どのようなメカニズムで格差が拡大するのか? 格差が拡大するのは、そもそも悪いことか?

教育における競争の原理

学区制:教育委員会によって、児童生徒が通う公立学校が一つ指定される制度。
学校選択制:児童生徒が通う学校を保護者が選ぶことができる制度。選ぶことができる範囲は自治体ごとに異なる。
教育バウチャー制度:私立学校も選択肢に入れることによって、さらに競争を促進する。
学校民営化論:民間会社に学校運営を任せることで、教育を自由競争の原理にゆだねる。
構造改革特別区域:法律等の規制によって自由な運営が不可能であった事業を、特別に可能にする地域を設ける。カリキュラムの自由化、学校運営主体の弾力化、小中一貫教育の推進等。

・「規制緩和」「構造改革」「自由化」「民営化」=自由競争を促進することによって全体の水準を上げていく狙い。
・しかし一方で、自由の罠。強者が弱者を食い物にすることで、ますます格差が拡大する懸念がある。
→「個性の尊重」と言っても、指し示す具体的な内容が立場によってまったく異なる。具体的にどのようなことを指して言っているのか注意して検討する必要がある。

教科書

・「自由採択制度/検定制度/国定制度」
・教科書とは、「小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及びこれらに準ずる学校において、教育課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童又は生徒用図書であり、文部科学大臣の検定を経たもの又は文部科学省が著作の名義を有するもの」
*学校教育法第34条:小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。
・(1)著作編集→(2)検定→(3)採択→(4)発行→(5)無償給与

教科書検定

・発行者から検定申請された申請図書は、教科書として適切であるかどうかを文部科学大臣の諮問機関である教科用図書検定調査審議会に諮問されるとともに、文部科学省の教科書調査官による調査が行われる。審議会での専門的・学術的な審議を経て答申が行われると、文部科学大臣は、この答申に基づき検定を行う。教科書として適切か否かの審査は、教科用図書検定基準に基づいて行われる。

教科書採択

・採択の権限は、公立学校については、所管の教育委員会に、国・私立学校については、校長にある。
・共同採択:採択に当たっては、都道府県教育委員会が「市町村の区域又はこれらの区域を併せた地域」を採択地区として設定する。

教材

・教育内容(教育課程で計画された、児童生徒に身につけさせたい知識や能力)を、具体的な授業や学習活動を通じて子供たちに身につけさせるために、様々な文化財の中から精選し、操作可能なように構成されたもの。
・教科書の他、市販のドリルなどの副読本、教師手作りのプリント、パワーポイント、マルチメディアなど様々な形をとる。
・様々な教材を、教師が使いやすいように、学習指導要領に即して、厳選して配列したものが教科書。

教材研究

・子供たちが教育内容を身につけるために、教育内容の本質との関連で教材の特徴や長所を把握し、具体的な授業展開の過程でどのように教材を活用するのか、子供たちの発達段階や個性等に合わせて計画を立てる。

学習評価

・目的→計画→実践→評価
・評価が正しく行われなければ、目的がどこまで達成できたか、改善点がどこにあるかなどを把握することができない。
・子供たちの到達度を把握すると同時に、教師の指導が適切に行われているかどうかをチェックする。
・絶対評価と相対評価。それぞれの特質、メリットとデメリット。
指導要録:学校教育法施行規則第24条第1項。各学校の校長は指導要録を作成しなければならない。「学籍に関する記録」と「指導に関する記録」。
内申書:基本的に指導要録の写し。
通知表:特に法的根拠を持たない。主に家庭との連絡手段。

復習

・学校をめぐる制度について、自分なりに考えてみよう。
・「教科書」に関する制度について押さえておこう。
・教育における「評価」の役割について、自分の経験を相対化(先生の立場に立って)しながら考えてみよう。

予習

・道徳の教科化について、調べよう。

教職基礎論(栄養)-7

▼短大栄養科 6/3(土)

前回の復習

・「義務教育」と「普通教育」の意味。
・「学力」の三要素。
・『学習指導要領』の意義と構造。

学習指導(つづき)

生きる力と知識基盤社会

生きる力:知徳体のバランスがとれた成長。
知識基盤社会:21世紀は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、いわゆる「知識基盤社会」(knowledge-based society)の時代である。
(1)知識には国境がなく、グローバル化が一層進む。
(2)知識は日進月歩であり、競争と技術革新が絶え間なく生まれる。
(3)知識の進展は旧来のパラダイムの転換を伴うことが多く、幅広い知識と柔軟な思考力に基づく判断が一層重要になる。
(4)性別や年齢を問わず参画することが促進される。

「社会の構造的な変化の中で大人自身が変化に対応する能力を求められている。そのことを前提に、次代を担う子どもたちに必要な力を一言で示すとすれば、まさに平成8年の中央教育審議会答申で提唱された「生きる力」にほかならない。」

OECDの主要能力(キーコンピテンシー)

OECDOrganisation for Economic Co-operation and Development=経済協力開発機構。
PISA:Programme for International Student Assessment=学習到達度評価。
キーコンピテンシー:OECDが2000年から開始したPISA調査の概念的な枠組みとして定義付けられた。
・単なる知識や技能だけではなく、技能や態度を含む様々な心理的・社会的なリソースを活用して、特定の文脈の中で複雑な課題に対応することができる力。
(1)社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する力
(2)多様な社会グループにおける人間関係形成能力
(3)自立的に行動する能力

(いわゆる)ゆとり教育

ゆとり教育:いわゆる「詰め込み教育」からの転換。(文部科学省による正式名称ではない)。いつから「ゆとり教育」が始まったかや、実質的な定義、評価等については、立場によって見解が大きく分かれているものの、1990年代後半から2000年代前半にかけてがピークだったことについてはおおむね一致する。
新学力観:従来の「知識・技能」を中心とした学力観を脱却して、思考力や問題解決能力、一人一人の個性を重視しようとする新しい「学力」に対する考え方。1998年の学習指導要領から示された。
学力低下:1990年代から2000年代にかけて、子供たちの学力が低下したのではないかという問題関心を示す言葉。実際に学力が低下したかどうかは吟味の必要がある。また、現実的には学力格差の拡大のほうが問題の根が深いかもしれない。
PISAショック:2003年と2006年のPISA調査結果で、日本の子供たちの学力が国際的な水準から見て急激に低下したことに、多くの人々が驚愕したという事態。いわゆるゆとり教育を見直すきっかけとなった。
全国学力・学習状況調査:2007年より開始された、日本全国の小中学校生徒全員を対象としたテスト。

ゆとり教育の是非

・「(いわゆる)ゆとり教育」に賛成か反対か、「どのような能力を伸ばすのか」という観点から考えてみよう。

復習

・「生きる力」が目指している教育や、「キーコンピテンシー」といったものが目指している人間形成について、現代社会の変化を踏まえて、概要を押さえておこう。

予習

・「学校選択制」や「教育改革特区」とは何かについて、調べておこう。

教職基礎論(栄養)-6

▼短大栄養科 5/27(土)

前回のおさらい

・教育基本法第一条:教育の目的は「人格の完成」
・人格:個性=代わりがない、アイデンティティ=変わらない、自由=責任の主体
・自己実現:ほんとうのわたし。自分こわしと自分つくり。

学習指導

・生徒児童に学力を身につけさせる。
・「義務教育」とは何か? 誰の誰に対するどのような義務なのか。子供が教育を受ける義務ではないことに注意。子供が持っているのは、教育を受ける権利
・「普通教育」とは何か? フツーの教育ということではないことに注意。
・「学力」とは何か? 法律で定義されていることに注意。

学校教育法 第21条
義務教育として行われる普通教育は、教育基本法 (平成十八年法律第百二十号)第五条第二項 に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一  学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
二  学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
三  我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
四  家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。
五  読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。
六  生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
七  生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
八  健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。
九  生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。
十  職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

学校教育法 第30条
小学校における教育は、前条に規定する目的を実現するために必要な程度において第二十一条各号に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
○2  前項の場合においては、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない。

学習指導要領

・文部科学省が公示している教育課程の大綱的な基準。教育基本法と学校教育法を踏まえて構成されている。各学校は学習指導要領をもとに教育課程を定める。

学習指導要領の構造

・第1章 総則
・第2章 各教科
・第3章 特別の教科 道徳
・第4章 総合的な学習の時間
・第5章 特別活動

・「各教科」と「特別の教科 道徳」と「総合的な学習の時間」と「特別活動」は、それぞれどのように異なっているのか。
(1)教科書
(2)評価
(3)教員免許

復習

・義務教育や普通教育という概念について、おさらいしておくこと。
・『学習指導要領』の働きと意義について押さえておくこと。

予習

・学習指導要領の変遷について、自分なりに調べておこう。

 

 

教職基礎論(栄養)-5

▼短大栄養科 5/20(土)

前回のおさらい

・教師の仕事として、学習指導と生徒指導の二本柱がある。
・学習指導では、「生きる力」を育成する。
・「学力」は、学校教育法で定義されている。学力の三要素。
・教育基本法第一条、「人格の完成」について。
・個性とアイデンティティ

自由とは何か?

・モノは自由ではないが、人格は自由である。
・教育とは、自由でないようなものを、自由にするための営みである。
・子供は不自由で、大人が自由?
・人間は、本当に自由なのだろうか?

思考実験:自由と責任

case1:殺人 選択肢がある場合
case2:リモコン 選択肢がない場合
case3:予言者 選択肢はあったのか?→(余談)悲劇とは何か
case4:隕石 物理法則には選択肢の余地がない
case5:因果関係 因果関係に選択肢はあるか→(余談)決定論
case6:責任 選択肢は、あったはずだ

・「責任をとる」ということは「自由」でなければ起こりえない。
・「自由」であるということは、因果律に支配された「モノ」とは違うということである。
・因果律に支配されないものとは何か? →人格
立法能力:自分でルールを作って、自分で守ることができるような力。他人の作ったルールに従う(他律)のではなく、自らの意志でルールに従う(自律)。

教育における自由の哲学問題

・教育の場面で起こりえる自由問題について。子供も自由と責任の関係をよく理解している。
・「自由」と「わがまま・自分勝手」の違い。自由は、立法に関する自律性。自分で作ったルールは、しっかり守らなければならない。
・自由のアポリア。立法は自由だが、ルールに従うのは服従。強制的に自由にさせる。

自己実現とは何か?

自己実現:私らしい私になる。本当のわたしデビュー。=社会的経済的成功とは本質的には関係しない。
・直線的で連続的な成長ではなく、矛盾と葛藤を経た不連続な成長。弁証法的発展。
・自己耽溺と自己疎外。
・自由な選択。
・「自分こわし」から「自分つくり」へ。

まとめ:人格の完成とは・・

・個性の尊重:かけがえのないわたし
・アイデンティティの確立:主体性
・自由の獲得:自律性
・自己実現:ほんとうのわたし

復習

・「自由」と「わがまま・自分勝手」の違いについて、自分なりに考えておこう。
・「自己実現」と「自己満足」の違いについて、自分なりに考えておこう。

予習

・「生きる力」について、文部科学省の見解を調べておこう。

課題

・締め切り:2週間 6/3(土)
・形式:800字程度。手書きOK、コンピュータOK。用紙サイズなど、日本語で読めれば何でも可。
・内容「小中高の学校生活で見てきた、尊敬できる先生、あるいは尊敬できない先生について。」