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道徳教育指導論-2

第2回=10/5

前回のおさらい

・道徳教育の目的←「人格の完成」「生きる力」「豊かな心」
・道徳教育は、教育活動全体を通じて行います。
・「特別の教科道徳」は、要として期待されています。

道徳の内容:何を教えるか

・週1回の「特別の教科道徳」で何をどのように教えるかは、『学習指導要領』で決められています。139~143頁を確認しておくこと。
・内容「学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要である道徳科においては、以下に示す項目について扱う。」

A 主として自分自身に関すること
[自主、自律、自由と責任]
自律の精神を重んじ、自主的に考え、判断し、誠実に実行してその結果に責任をもつこと。
[節度、節制]
望ましい生活習慣を身に付け、心身の健康の増進を図り、節度を守り節制に心掛け、安全で調和のある生活をすること。
[向上心、個性の伸長]
自己を見つめ、自己の向上を図るとともに、個性を伸ばして充実した生き方を追求すること。
[希望と勇気、克己と強い意志]
より高い目標を設定し、その達成を目指し、希望と勇気をもち、困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。
[真理の探究,創造]
真実を大切にし、真理を探究して新しいものを生み出そうと努めること。
B 主として人との関わりに関すること
[思いやり、感謝]
思いやりの心をもって人と接するとともに、家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自分があることに感謝し、進んでそれに応え、人間愛の精神を深めること。
[礼儀]
礼儀の意義を理解し、時と場に応じた適切な言動をとること。
[友情、信頼]
友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち、互いに励まし合い、高め合うとともに、異性についての理解を深め、悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。
[相互理解、寛容]
自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、それぞれの個性や立場を尊重し、いろいろなものの見方や考え方があることを理解し、寛容の心をもって謙虚に他に学び、自らを高めていくこと。
C 主として集団や社会との関わりに関すること
[遵法精神、公徳心]
法やきまりの意義を理解し、それらを進んで守るとともに、そのよりよい在り方について考え、自他の権利を大切にし、義務を果たして、規律ある安定した社会の実現に努めること。
[公正、公平、社会正義]
正義と公正さを重んじ、誰に対しても公平に接し、差別や偏見のない社会の実現に努めること。
[社会参画、公共の精神]
社会参画の意識と社会連帯の自覚を高め、公共の精神をもってよりよい社会の実現に努めること。
[勤労]
勤労の尊さや意義を理解し、将来の生き方について考えを深め、勤労を通じて社会に貢献すること。
[家族愛、家庭生活の充実]
父母、祖父母を敬愛し、家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと。
[よりよい学校生活、集団生活の充実]
教師や学校の人々を敬愛し、学級や学校の一員としての自覚をもち、協力し合ってよりよい校風をつくるとともに、様々な集団の意義や集団の中での自分の役割と責任を自覚して集団生活の充実に努めること。
[郷土の伝統と文化の尊重、郷土を愛する態度]
郷土の伝統と文化を大切にし、社会に尽くした先人や高齢者に尊敬の念を深め、地域社会の一員としての自覚をもって郷土を愛し、進んで郷土の発展に努めること。
[我が国の伝統と文化の尊重、国を愛する態度]
優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献するとともに、日本人としての自覚をもって国を愛し、国家及び社会の形成者として、その発展に努めること。
[国際理解、国際貢献]
世界の中の日本人としての自覚をもち、他国を尊重し、国際的視野に立って、世界の平和と人類の発展に寄与すること。
D 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること
[生命の尊さ]
生命の尊さについて、その連続性や有限性なども含めて理解し、かけがえのない生命を尊重すること。
[自然愛護]
自然の崇高さを知り、自然環境を大切にすることの意義を理解し、進んで自然の愛護に努めること。
[感動、畏敬の念]
美しいものや気高いものに感動する心をもち、人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めること。
[よりよく生きる喜び]
人間には自らの弱さや醜さを克服する強さや気高く生きようとする心があることを理解し、人間として生きることに喜びを見いだすこと。

内容の取り扱い:どう教えるか

道徳教育に関する配慮事項:12~13頁

・全体計画を作成する。→「重点目標」「指導方針」「他の領域との関連」「家庭や地域社会との連携の方法」
・「道徳教育推進教師」を中心に、全教師が協力して展開する。
・指導内容の重点化。
・「豊かな体験」の充実。
・いじめの防止、安全の確保。
・情報の公開。家庭や地域の人々との連携。

指導計画の作成と内容の取り扱い:141~142頁

・原則として学級担任の教師が行います。
・「道徳教育推進教師」を中心とした指導体制を作ります。
・「要としての役割」=補充・深化・統合。
・生徒自らが考え、理解し、主体的に取り組む。教師が生徒と共に考える姿勢を大切にします。
・言語活動を充実します。
・多面的・多角的な見方。
・問題解決学習、体験的な学習。
・情報モラル、生命倫理、持続可能な発展。
・授業の公開や実施、教材の開発などで、家庭や地域社会との連携。

評価

生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよう努める必要があります。ただし、数値などによる評価は行いません。

道徳の教科化

・中学校では2019年度から道徳の教科化が完全実施されます。(小学校は2018年度から)。学校の判断により、先行して実施しても構いません。

「教科」とは何か?

・以前の『学習指導要領』の構成→教科:道徳:総合的な学習の時間:特別活動
・教科=(1)教科書を使う(2)点数で評価する(3)教科固有の教員免許が必要。
・かつての道徳、総合、特別活動=(1)教科書を使わない(2)点数で評価しない(3)固有の教員免許が必要ない。
→特別の教科道徳=(1)教科書を使う(2)点数ではなく言葉で評価する(3)教科固有の教員免許が必要ない。

教科化の経緯

・いじめ問題?
・教育再生会議と教育再生実行会議。

復習

・道徳科で教えるべき内容と方法について把握しておこう。
・「道徳の教科化」の内容と経緯について理解しておこう。

予習

・教育基本法の「人格の完成」について考えておこう。

道徳教育指導論-1

第1回=9/28

授業の目的

・本講義は教員免許状取得に関わる授業であり、特に「道徳の理論及び指導法」について扱います。

目標

・道徳の意義や原理等を踏まえ、学校における道徳教育の目標や内容を理解する。
→道徳の本質(道徳とは何か)を説明できる。
→道徳教育の歴史や現代社会における道徳教育の課題(いじめ・情報モラル等)を理解している。
→子供の心の成長と道徳性の発達について理解している。
→学習指導要領に示された道徳教育及び道徳科の目標及び主な内容を理解している。

・学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育及びその要となる道徳科における指導計画や指導方法を理解する。
→学校における道徳教育の指導計画や教育活動全体を通じた指導の必要性を理解している。
→道徳科の特質を生かした多様な指導方法の特徴を理解している。
→道徳科における教材の特徴を踏まえて、授業設計に活用することができる。
→授業のねらいや指導過程を明確にして、道徳科の学習指導案を作成することができる。
→道徳科の特性を踏まえた学習評価の在り方を理解している。
→模擬授業の実施とその振り返りを通して、授業改善の視点を身に付けている。

教科書

※現行(平成29年3月)の『中学校学習指導要領』および『中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編』を手に入れておくこと。冊子でも手に入るし、無料でpdfファイルを手に入れることもできます。
・必要に応じてプリントを配布します。プリントの内容はWEBサイトにアーカイブします。

指導案と模擬授業

・一人一回は必ず模擬授業を行ってもらいます。人数が多い場合は、グループを作って、複数で一つの授業を行います。
・模擬授業開始は、第6回目か第7回目あたりに始めます。(人数やグループ数によって調整します)。
・模擬授業に当たって、必ず「指導案」を作成してください。
・指導案は、模擬授業終了後に各自必ず提出すること。

評価

・期末テスト、模擬授業、指導案によって評価します。
・目標に即して、評価の基準を設定します。
・テストには、スマートホンを含めて、あらゆるものを持ち込み可とします。
・出席が足りなかった者には受験を認めません。

その他

・非常勤講師なので、金曜日のこの時間以外には学校に来ません。
・質問等は、できるだけ授業後に対応します。込み入った質問は、解答をサイトに掲載することで対応します。
・模擬授業前には確認したくなることが多くなるだろうと思います。どうしても確認したい場合は、eメールを送って下さい。

道徳教育の目的

人格の完成(教育基本法)

・「教育基本法」第一条

教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

・「人格の完成」とはどういう状態でしょうか?
・そもそも「人格」とは何でしょうか?

生きる力(学習指導要領)

・「学習指導要領」では、児童生徒に「生きる力」を身につけさせることが目標となっています。
・生きる力=知・德・体のバランス。

豊かな心(学習指導要領:総則)

道徳教育や体験活動、多様な表現や鑑賞の活動等を通して、豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めること。
学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はもとより、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、生徒の発達の段階を考慮して、適切な指導を行うこと。
道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とすること。
道徳教育を進めるに当たっては、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、平和で民主的な国家及び社会の形成者として、公共の精神を尊び、社会及び国家の発展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意すること。(3頁)

復習

・道徳教育の目的について、自分の言葉で説明してみよう。

予習

・『学習指導要領』の「特別の教科 道徳」(139~143頁)を読んでおくこと。
・模擬授業のグループ分けや日程調整を行います。目星をある程度つけてきてください。