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【要約と感想】ロウリー・ムーア『ローズ姫と黄金のめがね』

【要約】自信をもって、めがねをかけよう!

【感想】全世界の子どもに、いや大人にも読んでいただきたい。人類必読の素敵めがね絵本。

 絵本の内容ももちろん素晴らしいのだけれども、この絵本ができるまでの過程が、またすこぶる胸熱な話なのでした。できるまでの過程はWEBで読めるので、ぜひ。
「めがねのプリンセスがいないのはなぜ?」9歳の少女の手紙に世界が共感! 絵本『ローズ姫と黄金のめがね』ができるまで

 そして本書の内容は、70年代の眼鏡少女マンガと響き合っている。特に70年代乙女チックが昇華させた「ほんとうのわたし」概念と共振する。眼鏡をかけた祖母との邂逅なども含めて、「親子三代眼鏡美人」という作品を想起させる。「ほんとうのわたし」という、アイデンティティや自己実現という概念の根幹に関わるテーマが、海を越えて、普遍的であることがよく分かる。テーマを心理学的に分析するのは、野暮なのでやめておこう。読めば分かるようにできている。めがねのままで、わたしらしく。

 ところで、ディズニー等の海外作品には、実際に眼鏡をかけたプリンセスが登場することはない。しかし日本の少女マンガは、数多くの眼鏡プリンセスを実際に世に送り出してきた。本書は、世界がようやく少女マンガ文化に追いついたことを示しているのかもしれない。
 本書をきっかけにして、絵本以外の様々な領域でも、普遍的な眼鏡概念が広がっていくことを期待したい。世界中で、めがね。

 それからamazonの写真では見られないのだけど、帯がまた素敵でした。

 まさにまさに。自信をもってめがねをかけよう!

▼参考:話題 めがねをかけたプリンセス 12歳ロウリーさんが絵本(毎日小学生新聞)
▼参考:【伊藤美玲のめがねコラム】第84回 めがねをかけたプリンセスの話に思うこと
▼参考:みるみるニュース2021.10.01
▼参考:TVでた蔵2020.08.07

文:ロウリー・ムーア、絵:ナタリー・オーウェン、訳:中井はるの『ローズ姫と黄金のめがね』早川書房、2021年