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【要約と感想】小野田博一『13歳からの勉強ノート―必ず成績が良くなる40のルール』

【要約】受動的に勉強をやらされていても、成績は伸びないし、辛いだけです。やめましょう。能動的に、楽しく勉強しましょう。好きなことを好きなだけ好きな格好で楽しめば、成績は勝手に上がっていきます。ストレスを減らし、楽しくやりましょう。

【感想】本書も最初に「やる気がある人向け」と断ってあるわけだが。本書が言っていることは、まあ、勉強ができる人にとってはまったく不思議でも何でもない、当たり前のことである。
ところが、できる人は本書に言われるまでもなくできてるし、できない人は何回言われたところでできるようにならない。本書も、子どもが自分で買ってくるケースでは別に読むまでもなくできるだろうし、親が買って子どもに与えるというのは最悪なんだろうな、と。

小野田博一『13歳からの勉強ノート―必ず成績が良くなる40のルール』PHP研究所、2009年

【要約と感想】池上彰『学び続ける力』

【要約】すぐに役に立つ知識は、すぐに役に立たなくなります。すぐに役に立たない知識こそ、長年にわたって役に立ちます。教養を身につけましょう。勉強大好き。

【感想】すでに勉強大好きな私には必要のない本ではあった。高校生が読むにはちょうどいい本なのかな。
まあ、大学の講義の様子は、多少参考になった。そう、調子に乗ってレポートを課すと、採点が大変なのだ。しかし大量に単位を落とせば、次からは受講者が減るのだ。ははは。

池上彰『学び続ける力』講談社現代新書、2013年

【要約と感想】芳沢光雄『論理的に考え、書く力』

【要約】ゆとり教育は大失敗です。数学が本質的に理解できていないバカばかりになっています。マークシート式試験は廃止して、記述式にするべきです。数学を本質的に理解するためにも、読解力が極めて重要です。

【感想】タイトルと中身がズレていて、実質的にはゆとり教育を含めて、入試政策批判の本だった。
まあ、数学に関わる人が危機感を持つこと自体は、わからなくもない。私自身も、数学ができない学生に愕然とすることは多い。子どもたちが数学を好きになって、得意になるよう、いろいろ手だてを考えていく必要は、確かにある。たとえば著者が言うように、教科書を厚くして分かりやすく工夫するのは一つの手段だろう。
また、大学入試が教育の論理ではなく経営の論理に浸食されていることについては、私も著者と危惧を共有する。入試に限らず、経営の論理は教育的な営みを破壊しつつある。非常にまずい事態に陥っている。

とはいえ、著者は教育学の論理には通じていないようで、いろいろ「?」なところはある。たとえばフランスのバカロレアを見習えと書いているが、それはつまり各大学が独自の入試問題を作らなくなるということだと理解しているのかどうか。文科省がAO入試を増加させようとしているのも、諸外国の入試制度に見習ってのことだと認識しているのかどうか。数学を愛するあまりなのかどうか知らないが、諸外国の教育制度との比較の視点は、極めて弱い。

まあ、10年ごとの教員免許更新講習を担当している身としては、「無駄だ」というご意見には、思わず頷いてしまうところではある。意味がないどころか、有害だろう。廃止した方がいい。
まあ、どうせやらなければいけないものであれば、せめて先生方にとって有意義な時間になるよう、精一杯頑張って工夫しますけどね。

芳沢光雄『論理的に考え、書く力』光文社新書、2013年

【要約と感想】齋藤孝『考え方の教室』

【要約】思考力・判断力・表現力を鍛え、問題解決力を身につけるためのハウツー本です。

【感想】けっこうよくできている本だと思った。変な自己啓発本にハマるくらいなら、こういう本をしっかり読み込んだ方が圧倒的に有用なのは間違いない。分析的な論理の作法のみならず、身体性とか禅とか直感力の話もあって、全体的なバランスもよいと思う。学部生が読むには、なかなか良いのではないだろうか。

とはいえ、優劣を判断する際には類書をたくさん読んで比較する必要があるんだけれども、こういう本、自分自身にはまったく必要なくて読まないからなあ…。たとえば本書でも「対話」の重要性がソクラテスや弁証法という固有名詞を伴って語られるわけだけど、近年は共同学習の技法が著しく発展していて、本書でも出てきたKJ法をはじめとして、ジグソー法などさまざまなテクニックが開発されている。この共同学習の技法に関しては、優れた類書がたくさんありそうな感じはしないではない。

齋藤孝『考え方の教室』岩波新書、2015年