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【千葉県千葉市】加曽利貝塚と荒屋敷貝塚で、縄文愛が目覚める

千葉県千葉市の加曽利貝塚と荒屋敷貝塚に行ってきました。貝塚の概念を根本から変え、縄文時代のイメージを強烈に喚起する、素晴らしい史跡でした。
特に加曽利貝塚は、2017年に特別史跡に指定され、さらに注目度が上がっています。特別史跡に指定されることは、国宝指定に匹敵するような、スゴいことなんです。ちなみに日本全国には特別史跡は62箇所ありますが、私個人は今回でようやく26箇所目の特別史跡訪問となります。完全制覇までは、まだまだ遠いですね。

62箇所目の特別史跡に指定された記念ということか、旧来の石碑の隣に、新しく石柱が立てられていました。

史跡の入り口にあった案内板。史跡公園は、たいへん広大です。犬の散歩をしている人がたくさんいました。

見渡す限りの原野。縄文時代の情景を思い起こさせます。この写真は加曽利貝塚の南側遺跡の中心部を撮っています。

公園内には、縄文時代の家である竪穴式住居が復元されています。

竪穴式住居は、中にも入ることができます。
まあ、個人的な見解では、竪穴式住居は藁葺きではなく土壁であった可能性も考慮していいようには思います。竪穴式住居の復元がほとんど例外なく藁葺きであるのは、科学的に見て多少問題があるように感じています。そういう意味では、三内丸山遺跡(青森県)の復元が、藁葺きだけでなく土壁も採用しているのは、科学的観点からは極めて良心的に思います。
まあ、観光地的に言えば土壁より藁葺きの方が見栄えがいいだろうことは、分かるんですが。

史跡内には、出土品の展示や解説を行う博物館が建っています。

ゆるキャラの「かそりーぬ」だそうです。加曽利と犬が合体したんですね。

展示室入り口でも「かそりーぬ」がお出迎え。頭に縄文土器の「加曽利E式」をかぶり、貝の首輪をつけています。そしてこの「犬」という存在が、縄文を考える上で極めて重要であることは、展示をしっかり見ると分かります。

正直、施設は古く、他のハイテク博物館に比べるとマルチメディア的な観点からは貧弱ではありますが、それを補って余りある「愛」が素晴らしかったです。縄文時代と加曽利貝塚に対する「愛」が、圧倒的です。じっくり見る価値があります。私個人は、貝塚というものに対する概念を大きく変更させられ、縄文時代に対するイメージがかなり変わりました。貝塚は、ただの「ゴミ捨て場」じゃないんですよ。

博物館の展示のおかげで貝塚に対するニワカ愛が目覚めたので、急遽、2kmほど西にある荒屋敷貝塚にも行ってきました。

貝塚に建っている案内板。

こちらの史跡も、広大な原野が広がっています。ところどころ、地表に貝が露出していて、明治初期には石灰を採掘していたというのも納得です。

この貝塚史跡は、京葉道路の上にあります。というか、貴重な史跡を保存するために、わざわざトンネルを掘って遺跡の下に道路を通したんですね。史跡南側の端に行くと、高速道路を行き交う激しい車の波を見下ろすことができ、少し変な気分です。貴重な遺跡が保存されて、日本の将来のためにも本当に良かったと思います。

加曽利貝塚の発掘は、まだ7%しか進んでいないそうです。今後の研究の進展によって、さらに縄文時代の様子が詳しく分かるようになることを楽しみにしています。
(2018年2/15訪問)