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【要約と感想】岩本茂樹『先生のホンネ―評価、生活、受験指導』

【要約】先生の言動の裏には、教師それぞれの経験と職員室内外の権力構造が潜んでいます。服装や髪型に関するわけの分からない校則を押しつけたり、生徒を一面的に判断したり、やたら部活動に熱心だったり、進学率ばかり気にしたり、成績で依怙贔屓するのには、それなりの構造的な理由があります。「理想の先生」なんて現実にはあり得ないので、潔く諦めて、目の前の偶然的な出会いを大切にして、関係を築き、お互いに成長していきましょう。

【感想】大勢のキャラクターが関わる一つの事件を多面的に見ることで、物事の真相が徐々に見えてきそうになりつつ、逆に全体像が見えなくなるという展開が、『藪の中』を想起させる構成となっていたわけだが、著者自身が後書きでそれを狙ったと書いていた。なるほど。教師がいかに教員同士の権力関係の網の目に捕らわれながら行動決定し、目の前の学生の個性を蔑ろにしているかが浮き彫りになる、とてもよい手法だと思った。
しかしまあ、「学生のため」という大義名分を振りかざしながら逆に自分のメンツを通していないか、私自身も自分の言動をふりかえらなければならない。いやはや。

岩本茂樹『先生のホンネ―評価、生活、受験指導』光文社新書、2010年