鵜殿の野望【第三章】上ノ郷城で徳川家康と戦う

三河鵜殿氏の本拠地「上ノ郷城」は愛知県蒲郡市にあります。蒲郡駅から北に2kmくらい行ったところです。
鵜殿氏は、室町時代には熊野から蒲郡に移ってきているようですが、正確な時期と理由は分かりません。

私が勝手に推測するに、おそらく熊野三山の荘園を地頭として管理するためにやってきて、次第に地元に根づいていって、最終的に今川義元の配下に入ったのでしょう。周りにはなんとなく熊野大社ゆかりの神社もあるみたいだし。

さて、温室ハウスが広がる畑を抜けていくと、城の案内看板があります。

上ノ郷城跡を愛する会」が設置した縄張図の案内板もあります。北東南の三方を川に囲まれた舌状台地の端にあって、自然の要害であったことが分かります。

下から見上げた上ノ郷城の本丸。当時はもっと高い土塁や土塀があったんでしょうけど、今は一面に雑草が生い茂って、諸行無常の響きあり。

登城口。城はミカン畑になっていて、水撒き用のホースに併走して登っていきます。石垣は当時のものではなくて、ミカン畑を造成するために造られたものでしょう。

いよいよ本丸に入る虎口の脇に、赤い木の案内がありました。青い空と緑の雑草に、素朴な赤い案内柱が映えます。

本丸には詳しい案内板があります。鵜殿氏は蒲郡の王者だったんですね。注目すべきは、1562年、すなわち桶狭間の2年後に鵜殿氏と徳川家康が戦っていることです。桶狭間の後も、鵜殿氏は今川家に忠誠を誓っていたんですね(今川義元の妹を嫁にもらっていましたから…)。徳川家康の三河統一の過程において、鵜殿氏が三河一向一揆と並んで最大の敵であったろうことが分かります。

本丸から南を臨むと、遠くに三河湾が見えます。三方を山に囲まれ、南側だけ海に開けているこの地形は、鎌倉の地形を思い起こさせます。守るに易く、攻めるに難い、本拠地としては最高の立地条件ではないでしょうか。家康がこの城を落とすのに手こずったのも、よく分かります。「忍者が活躍したこと」については、いろいろ面白いエピソードもあるので、また別の機会に。

雑草が生い茂る本丸に立ち、遠く三河湾を眺めていると、つわものどもが夢の跡。ここから見る月は、とても美しそうです。

蒲郡市博物館:上ノ郷城跡を愛する会
蒲郡市博物館:上ノ郷城跡ってなに?(こども向け)

鵜殿の野望シリーズ

【第一章】鵜殿城という城がある
鵜殿一族は、平安時代に紀伊半島の熊野大社に関わる海賊として頭角を現します。

【第二章】鵜殿氏一門の墓
大坂夏の陣で滅びた鵜殿一族の墓を、現在も地元の人が大切に管理してくれています。

【第三章】上ノ郷城で徳川家康と戦う
鵜殿一族は、戦国時代に今川義元配下の武将として頭角を現し、徳川家康と死闘を繰り広げます。

【第四章】桶狭間の合戦で活躍・・?
桶狭間の合戦においても、鵜殿氏は重要な役割を果たしています。

【第五章】蒲郡に君臨する鵜殿一族
愛知県蒲郡市には、鵜殿一族が構えた城の痕跡がいくつか残されています。

【第六章】吉田城と鵜殿兵庫之城
鵜殿氏は、徳川家康との戦いの末、愛知県豊橋市に残る吉田城にも立て籠もります。

さらに続く。刮目して待て??

鵜殿の野望【第二章】鵜殿氏一門の墓

鵜殿氏一門の墓は、鵜殿城の隣の山にあります。(2016年8月訪問)

「鵜殿氏一門の墓」の案内板

一門の墓の脇にある案内板には、鵜殿氏に関してなかなか詳しく解説されています。熊野大社に深く関わっていた海賊だということが分かりますね。
一門の墓自体は、貴弥谷社という神社にあります。ちなみに貴弥谷社は、社略記によると、熊野神が2500年前に神倉山からこちらにお移りになった神社だそうです。その貴弥谷社は、極めて行きにくいところにあります。

貴弥谷社にたどり着くためには、中学校の校庭を経由しなければいけません。本当に大丈夫かと多少の不安を抱えながら学校の校庭を抜け、階段を登ると、いきなり熊野古道のような山道に入ります。人の気配は一切なく、鳥の鳴き声だけが響き渡ります。かなり登ったところに鳥居が見えてきます。

貴弥谷社の鳥居

静かな山の中で、とても落ち着きます。真夏の猛暑日に行ったのですが、ここは不思議と涼しかったです。熊野三山はどこも観光客で溢れていますが、ここは隠れた癒やしスポットだと思います。

鵜殿氏一門の墓

これが鵜殿氏一門の墓。地元の方が綺麗に管理してくれています。熊野の鵜殿氏自体は大坂夏の陣で滅びてしまったのに、たいへんありがたいことです。しっかりお参りしてきました。

鵜殿の野望シリーズ

【第一章】鵜殿城という城がある
鵜殿一族は、平安時代に紀伊半島の熊野大社に関わる海賊として頭角を現します。

【第二章】鵜殿氏一門の墓
大坂夏の陣で滅びた鵜殿一族の墓を、現在も地元の人が大切に管理してくれています。

【第三章】上ノ郷城で徳川家康と戦う
鵜殿一族は、戦国時代に今川義元配下の武将として頭角を現し、徳川家康と死闘を繰り広げます。

【第四章】桶狭間の合戦で活躍・・?
桶狭間の合戦においても、鵜殿氏は重要な役割を果たしています。

【第五章】蒲郡に君臨する鵜殿一族
愛知県蒲郡市には、鵜殿一族が構えた城の痕跡がいくつか残されています。

【第六章】吉田城と鵜殿兵庫之城
鵜殿氏は、徳川家康との戦いの末、愛知県豊橋市に残る吉田城にも立て籠もります。

さらに続く。刮目して待て??

【要約と感想】カニンガム『概説子ども観の社会史』

【要約】「子ども」という概念および実態が主にヨーロッパと北米でどのように変化したか、先行研究の到達点と疑問点を簡潔にわかりやすくレビューした上で、人口動態史など社会史が積み重ねた実績を睨みつつ、福祉政策など国家レベルの政策にも目配りしてまとめた、論理的枠組が明快な概説本。

【感想】結論をおおざっぱにまとめると、(1)「子ども期」が最も根本的な変革を被ったのは20世紀前半であり、(2)そして現在は「子ども期」が消滅しつつある、という見解となる。

(1)20世紀前半の意義を強調することによって、まずアリエスの言うような近代初頭における変化の意義が相対的に小さくなる。50年前にアリエスが眼前に見ていたのは、まさに大人と子供の距離が極大に遠ざかった時期であった。一方で著者のカニンガムが生きているのは、大人と子供の距離が近づきつつある時代だと言う。研究者の「現在」の視点が歴史研究の態度を決めるというカニンガムの記述は、アリエスの研究をもすでに「史料」と見なして処理しているわけで、ちょっとおもしろい。

(2)また20世紀後半から子どもと大人の距離が縮まりつつあるという見解は、「近代」と「ポストモダン=成熟した近代」の相克と読めば、特に目新しい見解ではない気はする。たとえば「近代」という時代を、理念的には身分制を破壊して自由と平等を称揚しつつ、実質的には白人男性ブルジョワの権利のみを認めた時代だとすれば。そして「成熟した近代」を、白人男性にしか認められていなかった権利が実質的にマイノリティ=女性・労働者・有色人種・植民地・障害者にも与えられた時代だとすれば。人権の普遍原理はもちろん子供にも適用されることになる。カニンガムも指摘するとおり、その具体的な表現は1989年の「子どもの権利条約」に鮮やかに見ることができる。

「大人/子供」という二項対立の境界線の移動を見て近代とポストモダンの違いを強調することにも積極的な意味はあるだろうけれども。一方で、「子供」概念の展開を「人権の適用範囲の拡張」という一元的な過程として把握すれば、実は近代とポストモダンは連続した一つの発展過程として描けるだろうという気もする。というわけで、私は「近代の超克」的な記述に懐疑的な一方、「近代=未完のプロジェクト」という思考法に親和的なのを改めて実感したのだった。

ヒュー・カニンガム著、北本正章訳『概説 子ども観の社会史: ヨーロッパとアメリカからみた教育・福祉・国家』新曜社、2013年

 

結婚しました

今日、役所に婚姻届を出してきました。

無事に受理されました。17年ぶり2度目の結婚となりますが、温かく見守っていただければと思います。

勤務先の校舎を臨む石神井川の桜も見頃を迎えておりました。橋の上から、自分の研究室がよく見えます。

職場も変わって心機一転、ますます張り切っていきたいと思います!

メガネ男子萌えお茶会

「メガネ男子萌えお茶会」第1回に司会として出席してきました。

メガネ男子萌えの究明に長年尽くしている渡辺由美子さん主催のイベントで、名前のとおり「メガネ男子」の素晴らしさについて語る集会です。前回は大きな会場で開催して成功を収めましたが、今回は小さな会場で、参加者同士のコミュニケーションを濃密にしようという趣旨で行われました。

お茶会ということで、参加者が各自差し入れを持ち寄りましたが、極めて眼鏡力が高い空間となりました。素晴らしい!

和気藹々とした雰囲気の中、熱のこもった発表が続きました。

主なテーマは、温故知新系メガネ男子としての「池田勇人」、『昭和元禄落語心中』に見える「枯れ×メガネ」、ドラマ版『逃げ恥』の平匡さんがメガネを上げ直すとき(全97回)のカチッという音、よしながふみ『フラワーオブライフ』の真島海がメガネを押さえる仕草、バンドのメガネ男子として「シュノーケル」の見せるフライングメガネ現象、くたびれているメガネの素晴らしさ、ポール・フェイグ監督の本物具合、スマホアプリ『夢色キャスト』のキャラ橘蒼星くんの萌えポイントなど、広範囲にわたる領域が扱われ、たいへな知的刺激を味わいました。

また今後も行われると思いますので、メガネ男子の萌え現象に興味がある方は、ぜひご参加いただきたいと思います。

「人格の完成」とは何か、絶賛研究中。