「歴史散歩」カテゴリーアーカイブ

【栃木県下野市】下野薬師寺は日本三戒壇の一つ

下野薬師寺に行ってきました。
奈良時代に戒壇が設けられ、全国に三カ所しかなかった「日本三戒壇」として名高いお寺の跡です(他の二カ所は、奈良東大寺、福岡の観世音寺)。失脚した道鏡が流された寺としても有名。

跡地近くには無料で入館できる歴史館も整備されています。当時の伽藍配置や発掘資料、様々な文書史料などを見ることができます。なかなか充実していました。

歴史館の2階からは史跡の全貌を見渡すことができます。まあ、跡地なので建物等はありませんけれども。歴史館では当時の建物の様子を再現した3Dモデルを用意していて、タブレットを借りて見ることができます。

歴史館を出て、跡地へ。

回廊が一部復元されています。

薬師寺の跡地には安国寺というお寺が建っていて、この六角堂がかつての戒壇跡とされていました。が、なんと発掘の結果、証拠が見つからなかったということです。戒壇の跡は、現在も発掘調査中とのこと。

ちょっと離れたところにある、五重塔跡地。こちらも発掘調査によって、再建されたものだったことなどが分かったそうです。

天下の三戒壇として栄えた下野薬師寺も、平安時代に入って比叡山が戒壇を設けるなどしてから、正式の僧侶養成所としての権威が落ち、衰退していったようです。戦国時代、後北条氏の戦乱に巻き込まれて衰運が決定的になったようですね。

天平の当時に思いを馳せながら、下野薬師寺を後にしたのでした。
(2017年8/29訪問)

【茨城県水戸市】展望台・五角堂に男の浪漫を見た

 回天神社の近くに、「展望台」「五角堂」があったので、寄ってきました。住宅街を抜けると、展望台の看板が。その先に、角材で組まれた展望台?らしきものが見えてきます。

 とても狭くて急な階段を、おっかなびっくり登って踊り場へ。

 確かに眺めは素晴らしいなあ。展望台から那珂川を臨むの図。

 展望台の脇には、「五角堂」が。自由に入れるという男の隠れ家らしいので、ありがたく自由に入ります。

 那珂川に臨む崖の上に建物が。

 自由に入れる。

 自由に入ってみると、中は予想以上に男の隠れ家でした。

 那珂川が一望できる、絶景のロケーション。ソファにゆったりともたれながら本を読むのにちょうどいい気がします。

 が、クーラーがないので、この季節は5分といられないのだった。いちおう団扇は置いてあったけれど、流れ落ちる汗を止めることはできません。

 平成18年に完成、総工費18万円らしい。やるなあ。

 想像以上に男の浪漫が形になっていた五角堂を、感心して後にしたのでした。
(2017年8/28訪問)

【茨城県水戸市】回天神社に幕末水戸藩の悲劇を見た

 水戸は何度か訪れていて、メジャーどころは一通り回っているので、今回は行きそびれていたところを廻ってみました。

 ということで、回天神社。幕末に国事のために命を落とした水戸藩士が中心となって祀られている神社です。幕末の水戸藩では極めて陰惨な殺し合いが続く(そしてそれは日本全体に及ぶ)のですが、その犠牲となった霊を鎮める神社ですね。

 境内にはずらりと殉難志士の墓が並んでいます。これだけの人間を死に追いやるまでに至った「水戸学」の思想というのは、一度きちんと体系的に押さえておかないといけないなと、改めて思いました。「今こそ水戸学を学ぼう」と主張する人々が定期的に現れるけれど、この思想を原理主義に信奉することが政府転覆実行に繋がり、極めて多くの有望な若者を死地に追いやったという事実は、重く受け止めるべきだと思うな。

 回天神社の鳥居。「回天」という名前は、個人的には人間魚雷回天という形で知ったんだけど(人間魚雷回天は靖国神社に展示されている)、もともとは水戸学の学者である藤田東湖の『回天詩史』という書物の名前が由来ですね。藤田東湖が生きていたら、水戸学原理主義過激派を押さえることはできたのかなあ。

 ここで思い出したのは、2012年5/19に茨城県鹿嶋市の史跡「天狗党の墓」に訪れたこと。とても良く晴れていた日だったのに、この天狗党の墓周辺は薄暗く沈んでいたのが印象深かったです。茨城県各地に、こういった幕末殉難志士の史跡が残っていますね。下はその薄暗い写真。

 回天神社には「常磐共同墓地」が隣接していて、ここに有名な学者がたくさん眠っています。たとえば時代劇の水戸黄門で「格さん」として知られている安積澹泊の墓。ドラマでは武闘派として描かれているけれど、もちろん本物は歴とした学者です。

 墓地の奥の方には、藤田東湖の墓。この人が生きていたら水戸藩の動きが変わり、ひいては日本の幕末の命運が大きく変わっていたのではないかと思うにつけ、つくづく残念な気持ちになる。

 思い出すのは、2013年3/11に水戸を訪れたときに見た東湖神社の光景。なんと東湖神社の境内で猿回しをやっているという。まあ、猿回し自体はいいんだけれども。藤田東湖の業績が地元民にちゃんと伝わっているのかどうか、不安になる事案ではある。下の写真は、東湖神社の境内で猿回しの後片付け中の図。

 また回天神社には、保和苑が隣接しています。こちらは散歩に気持ちいい日本庭園。かなり広い敷地で、若者がスケボーの練習をしていたりしました。

 ところで、水戸城大手門が復元整備中らしいですね。

 まだまだ基礎工事もこれからという感じですが、平成31年には完成ということで、楽しみです。また水戸には遊びに行きたいと思います。
(2017年8/28訪問)

【神奈川県小田原市】石垣山一夜城は、相模湾を一望する見晴らしと石垣がすごい

温泉に浸かった後は、小田原城を眼下に臨む、石垣山一夜城に行ってきました。相模湾を一望できる絶好のロケーションです。

豊臣秀吉が天下統一の総仕上げとして小田原城を攻める際、まるで一晩で城を作ったように見えたことから「一夜城」と呼ばれたところです。伊達政宗が死に装束パフォーマンスを見せたり、家康に関東移封を命じたり、忍城や八王子城の伝説ができたりと、様々な人間模様が演じられた場所ですね。

JR早川駅の案内板には「入口」などと書いてあるけれども、ここから徒歩45分。4年前は石橋山古戦場から1時間くらい歩いて石垣山城に行きましたが、今回はタクシーであっと言う間に城跡へ。

石垣山城の本丸からは小田原城が丸見えです。秀吉と家康は、ここで小田原城を眺めながら「三河の連れション」をしたのでしょうかね。

今回は小田原城には行きませんでした。こちらは4年前に訪問したときの小田原城天守閣。まあ、江戸時代になって組み直した小田原城に魅力を感じないのは、きっと仕方ない。天守閣も鉄筋コンクリートだしなあ。

石垣山城のほうは、400年経って石垣も崩れてしまっていますが、郭の形など当時の面影をかなりよく残していて、見応えがあります。二の丸から本丸を臨むの図。

井戸郭の石垣は壮観でしたね。この石垣は小田原城に見せつけるためのものではないので、単純に土木工事上の要請から作られたのかな。

石垣山城の隣にある鎧塚ファームには、川島なお美さんの慰霊碑ができていました。4年前訪れた時には、当然なかった。三河人にとってみれば、お笑いマンガ道場での活躍がとても印象に残っています。

鎧塚ファームでは、おいしいケーキが食べられるのはもちろん、新鮮な野菜も激安価格で売っています。

ということで、小田原に観光に来て小田原城しか見ないのは、かなり残念なことをしています。鉄筋コンクリートの小田原城天守閣に登るよりは、石垣山城本丸から小田原城を見下ろす方が遙かに感動的です。小田原駅からタクシーで2,000円弱、早川駅からは1,000円強で行けるし。

北条早雲の頃の小田原城は面影も何もないわけだしなあ。そんなわけで、鎧塚ファームで美味しいソフトクリームを食して小田原を後にしたのでした。
(2017年8/25訪問、2013年4/13訪問)

【神奈川県湯河原市・真鶴町】温泉は素晴らしいね!+子宝パワースポット

一泊で温泉に浸かってきました。熱海と湯河原は、東京からだと絶妙な近さで、素晴らしいね。

あと、行こう行こうと思いながらなかなか行けていなかった、真鶴岬の先っちょにも行ってきました。やっぱり先っちょはいいね。先っちょには行きたくなるよね。

温泉宿は、湯河原駅からバスで15分くらい。バス停の目の前。

露天風呂、男湯の方はほぼ貸し切り状態。女湯のほうは混んでいたようですが。

宿泊した「水の香里」は、お料理も大満足で、コストパフォーマンス的にも文句なしで、ゆったり楽しんできました。

近くの万葉公園には清々しい散歩道が用意されていて、気分良くリフレッシュできます。湯河原いいなあ、日帰りでもこられる距離だし、また来よう。

お昼は熱海の温泉宿デイユースで貸し切り露天風呂。「湯宿一番地」の貸し切り露天風呂は、値段の割にゆったりできる度は極めて高かったです。駅からも近いし。素晴らしい。

貸し切り露天風呂では、家の風呂はできないようなことにもいろいろチャレンジできて、素晴らしいね。文化の極みだね。

で、真鶴には子宝パワースポットがあるということで、お参りにし行ってきました。「子之神社」と書いて「ねのじんじゃ」と発音します。

本堂の両脇にある左右一対の狛犬は、全国でも唯一ではないかと言われているらしい「子連れの狛犬」です。左側の母親狛犬が抱いている子犬を撫でれば「子授け・安産」の御利益、右側の父親狛犬が背負う子犬を撫でれば「無事成長」の御利益があるとのこと。

お参りの仕方が、二拍手ではなくて四拍手というのが意外でした。四拍手というと出雲周辺の神社の仕来りという印象が強いのですが、子之神社は出雲系と何か関係があるのでしょうかね?

また、「祈りの石 美女石」なるパワースポットもありました。

女陰の形をした石ということで、本社に夫婦そろってお参りした跡、夫がこの石をまたげば子が授かる御利益があるとのことです。なるほど、じっと見ていて、だんだん女陰に見えてきたのは、きっと暑さのせいではない。どどんと跨がってきました。御利益がありますように。

近くにある荒井城址にも、階段を登って行ってみました。公園として整備されていて、遺構は確認しにくかったなあ。階段を振り返ると視界に入ってくる海の景色は、夏の陽射しにギラギラ照らされて眩しかったです。(2017年8/24~8/25訪問)