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【要約と感想】河原和枝『子ども観の近代 『赤い鳥』と「童心」の理想』

【要約】日本では大正時代に近代的な「子ども観」が確立しました。

【感想】子どもを「無垢」で「純粋」な存在と考えるのは、現在では当たり前の感覚だろう。しかし歴史学の様々な研究によれば、その感覚は歴史的に「発明」されたものだという。本書は、特に日本において「子どもを無垢な存在と考える」ような態度が大正期に確立したことを主張している。

分析対象として主に扱っているのは、大正7年(1918年)に創刊された『赤い鳥』という子ども向け雑誌である。そこに掲載された童話等の分析を通じて、日本で「子ども観」がどのように確立していったかを明らかにしようとしている。

興味深いのは、単に「子ども」という観念が生まれたに止まらず、「子ども」という理想が「大人」という観念に対してどのように働くかという議論だ。子どもを研究対象としようとするときでも、単に子どもを見るだけではなく、社会全体を俯瞰する視野が必要だということを示唆している。

河原和枝『子ども観の近代 『赤い鳥』と「童心」の理想』中公新書、1998年