【要約と感想】小林道夫『デカルト入門』

【要約】しばしば意識中心主義の権化と勘違いされているデカルトですが、実際には三十年政争の時代にヨーロッパを股にかけて活動した剣術の達人であり、身体(および精神との一体性)に対して鋭い洞察を残している行動的思想家です。そしてあらゆる項を比例関係として捉える解析の手法を武器に幾何と代数を統合して数学の発展に寄与しただけでなく、現実世界に数学を適用して古代アリストテレスの自然観を根底から転換し、さらにそれらを根底から基礎づける形而上学を打ち立て、近代の科学や哲学に決定的な影響を残しました。

【感想】デカルトの人となりや考え方がとても分かりやすく解説されていて、まさに入門書としてうってつけの一冊だ。類書と比べたとき、身体性に対する記述と数学および自然科学への貢献に関する記述が厚いのが特徴か。

小林道夫『デカルト入門』ちくま新書、2006年