【感想】上野の森美術館「蜷川実花展―虚構と現実の間に―」

 上野の森美術館で開催中の「蜷川実花展―虚構と現実の間に―」に行ってきました。特に写真に強い興味関心があるというわけではないのですが、この歳(アラフィフ)になると感受性の衰えが甚だしく、意図的に自分の興味関心の範囲以外のものにアタックしていかないと今後マズいことになると脅迫観念的に危機感を煽り立て、どんどん外部に打って出るべきだと行動指針を決めた矢先に新型コロナでひきこもり、しかしワクチンも2回打ったし感染者数も激減、今がチャンスだ逃すな晴れてるしということで、いそいそと上野に向かって美術体験に出かけていったのでありました。

 「日曜美術館」を観ているので名前と作品の傾向についてはなんとなく存じておりましたが、生で見ると大迫力です。特に「色」は、やはりLED透過光と生の反射光では印象が異なります。

 とにかく彩度が高い。人工的に花の彩度を高くする技法が紹介されていて、納得。

 写真を超えて、空間全体をプロデュースする総合芸術となっております。圧倒的な空間。泣いていた子どもも黙る(←ほんとに)。

 どこかノスタルジックな印象を受けるのも不思議。

 ということで、会場内は写真撮影もOKだったのですが、写真作品を写真撮影するというのにもなかなかの違和感を覚えたり。そんなわけで、自分自身で写真を撮ろうと思い立って、しかも場所は風光明媚な上野公園、彩度高めな画角には事欠きません。帰宅後にデジタルデータをパソコンに取り込んで、フォトショで彩度スライダをぐぐーんと上げて蜷川風にしてみようと試みるわけです。
 下は自分で撮った写真をフォトショで加工した、上野公園の大噴水越しに国立東京博物館を見るの図。彩度アゲアゲに加えて、色相も60年代風にいじってみるのですが、単にフォトショでスライダを弄ぶだけではこの程度にしかならないので、やはり展覧会の作品群には相当な技術と経験と手間暇がかかっているのだろうということを想像するのでありました。

 さて、意図的に外に打って出て経験を積み重ね、私の感性に多少なりともヤスリがかかったかどうか。まあ、秋晴れの下の上野公園散歩が精神衛生的に悪いはずはないのでした。いい気分。そしてこの後は東京国立博物館に最澄展を観に行くのでした。(2021年11/11訪問)