【教育史】学生に人気の教育(思想)家ランキング2021

 大学の教職課程で「教育原論」という授業を担当していて、具体的に扱っている内容は教育の理論や歴史です。で、教育(思想)家について言いたいことを言いたいように話しまして、期末テストでは「自分の教育観に照らしてランキング(1位~5位)をつける」という問題を出しております。(いちおう教職コア・カリキュラムには反していませんからね)
 中学・高校の教員免許取得を目指す四大の二年生(および若干の三・四年生)267名の解答をまとめて作成したランキングが、以下の通り。総合ポイントは、1位=5point、2位=4point、3位=3point、4位=2point、5位=1pointを合算して産出しています。「支持率」は、順位に関係なく、267名のうち名前を挙げた学生の割合を示しています。

教育(思想)家POINT支持率
1ペスタロッチー52055.1%
2モンテッソーリ42846.1%
3ルソー32539.7%
4コメニウス30333.3%
5デューイ29736.7%
6ソクラテス27028.5%
7カント23828.5%
8ロック14418.0%
9コンドルセ13418.7%
10フレーベル11519.9%
11福沢諭吉11215.7%
12パーカースト11015.4%
13森有礼9512.4%
14オーエン8412.0%
15キルパトリック8211.6%
16及川平治729.4%
17ヘルバルト6611.2%
18エレン・ケイ527.9%
19沢柳政太郎396.4%
20ホレース・マン386.0%

 一位は安定のペスタロッチーですが、支持率が55%ということは、逆に言えば45%の学生は5位までにペスタロッチーの名前を挙げなかったということでもあります。誰の名前を挙げるかで、学生の個性がはっきり出てくるのがおもしろいところです。
 もちろんこのランキングは教育(思想)家自身の魅力を示しているのではなく、私が授業でどういうふうに扱ったかをダイレクトに反映しているものです。で、私が強調したつもりのところが学生にはあまり支持されず、軽く扱ったつもりのところがけっこう支持されているのは、少々興味深いところです。個人的にはヘルバルトと沢柳政太郎の支持はもうちょっと集めたいところでしょうか。来年の授業のための参考にしていきます。(テストの結果というのは、学生の理解度を測るという機能も確かにありますが、より重要なのは教師の授業の質を反省するための重要な素材となることです。)

 ちなみに、こういうふうに「自分の判断基準で選ぶ」という作業をすることは、知的営為としてとても大切だと思っています。(だから期末テストとして強制的にやらせているわけですが)。この「選択」という作業を通じて、自分自身の考えが整理され、単にバラバラだった情報(人の名前の羅列)が自分自身の価値観や既存の知識の中に位置付き、体系化され、概念化されていきます。人の名前を単なる情報としてバラバラに覚えるよりも(試験が終わると忘れちゃうし)、体系化された概念として深めていく方が、長い人生を考えれば圧倒的に重要だ、と思うわけです。だから単にランキングを作るだけでなく、「どうしてそういうランキングにしたのか」という理由も書かせています。なかなか興味深い解答が多いのですが、こちらは個人情報に当たるものなので学外には出しません。

 さてそして一方、短大保育科の一年生76人の解答を集計したのが、以下の表。

教育(思想)家point支持率
1モンテッソーリ16660.5%
2フレーベル15952.6%
3ペスタロッチー14859.2%
4ルソー10450.0%
5デューイ7834.2%
6ソクラテス4721.1%
7ロック4321.1%
8コメニウス4219.7%
9パーカースト3013.2%
10森有礼2815.8%
10エレン・ケイ2811.8%
12カント2714.5%
13コンドルセ2514.5%
14及川平治169.2%
15ヘルバルト127.9%
16福沢諭吉116.6%
16高嶺秀夫115.3%
18沢柳政太郎83.9%
19キルパトリック65.3%
19空海62.6%
19吉田松陰62.6%

 さすがに母集団が保育士を目指している学生ばかりなので、フレーベルの順位がぐんと上に来ます。まあ授業で話すときも、中・高免許志望の学生相手にはフレーベルの神がかり的なところを強調するのですが、保育士志望の学生相手には「遊び」を重要視したところを強調したりと、内容もそこそこ違っていたりします。あと四大に比べてカントの順位ががくっと下がるのは気になるなあ。来年の授業の参考にします。

 ちなみに、授業で扱った人物に限定して解答するように指示しているにも関わらず、「尾木直樹」とか「林修」と書いてくる学生が2~3人いて、「???」となるのも毎年のこと。たぶん授業を聞いていないんだろうけれども、それにしてももうちょとうまい誤魔化し方がありそうな気もするところではありました。私の方は、授業をちゃんと聞いてもらえるように工夫しなければと、反省するところであります、いやはや。