【感想】東京ステーションギャラリー「もうひとつの江戸絵画 大津絵」

東京ステーションギャラリーで開催中の「もうひとつの江戸絵画 大津絵」を観てきました。
東京ステーションギャラリーは、東京駅丸の内北口から直結していてアクセスが極めて良く、会場内では昔の東京駅の雰囲気そのものも楽しめて、とても素敵なところです。

ギャラリー出口の2階バルコニー部からは丸の内北口が一望できて、気分が良いです。

「大津絵」そのものは、ちょっと不思議な感じがしたまま鑑賞しました。まあ、正直言って、あまり上手ではないような気がするわけで。で、上手じゃないこと自体はまったく問題ない性格の絵でもあるわけで。

ポイントは、大津絵の「収集者」が錚々たるメンバーだらけだということです。展示の解説も、作品そのものの解説よりも、この作品を「誰が持っていたか」に焦点を当てています。「誰が持っていたかが重要」というのが、この展覧会のポイントです。展覧会ポスターのコピ-「欲しい!欲しい!欲しい!」は、なかなか絶妙に展覧会の性格を言い表しています。「この凄い人物が欲しいと思った絵」というところが、凄いわけです。
なので、逆に言えば、作品そのものの鑑賞については、なんだかおかしな感じがしたままだったのでした。錚々たる目利きが欲しがった作品なので、凄いはずなのですが、あまり凄くは見えないという。まあ他にないトボケた味わいは確かにあって、その個性が重要なのだろうというところまでは、なんとなく分かります。私も目利きになったら、本質的な凄さがわかるようになるのでしょうか。

ところで大津といえば、教育学では2011年のいじめ事件で不名誉によく知られていたり、歴史学ではロシア皇太子が遭難した大津事件の舞台として知られていたりしますが、美術の世界では「フェノロサの墓」と「ビゲローの墓」があるところとして知られていますね。歴史的にいろいろあるのは、京都への出入り口として地政学的に極めて重要な位置にあるからなのでしょう。

丸の内を出て江戸城に向かうと、行幸通りの銀杏が色づき始めていました。秋ですね。