【栃木県大田原市】黒羽城址は紫陽花が綺麗

栃木県大田原市にある黒羽城に行ってきました。6kmほど西にある大田原城は桜の名所ですが、こちらは紫陽花の名所として知られています。

黒羽城は、地図で見る通り、西を那珂川、東を松葉川に挟まれた、天然の要害です。城を作るならここしかないだろうという恵まれた立地条件です。

とはいえ、奥州街道からは少し東に外れており、交通の要衝という感じではない気もしますが、経済圏の中心としてはどうだったのでしょうか。(那須盆地東端を走る関街道直下ではあります)。黒羽藩も一万八千石と、それほど大きな藩ではありません。水戸に繋がる那珂川水系の水運がどれくらい発達していたかが問題ですが、手っ取り早く分かる資料はなさそうですね。

城はかなり広大で、とても立派でした。一万八千石の城としては破格の大きさなように思います。関ヶ原合戦の際の対上杉防衛ラインとして重要視されたことは分かりますが、太平の世にあっては維持がかなり大変だったと思います。なにかしら儲かっていたのでしょうか。

案内パネル等によると、城主の大関氏は小田原征伐と関ヶ原合戦を巧妙に切り抜けて、かつての主である那須氏を追い落として近世大名に成り上がったもののようです。

さて、本丸はかなり広大です。

かつてはここに城主大関氏の居館がありました。案内パネルを見ると、こちらは一万八千石っぽい構えになっているような気はします。

本丸西側には櫓型の展望台あって、那須盆地を一望することができます。

木立に遮られて全貌が分かりにくいですが、那珂川からの比高差はかなりあって、城としては相当に防御力が高そうに思います。

そして黒羽城の一番の見所は、本丸と二の丸を隔てる空堀ではないかと思います。巨大です。さすがに水戸城ほどではありませんが、かなり巨大な空堀です。関東の土の城を代表する空堀の一つなのではないでしょうか。

現在は空堀の斜面にたくさんの紫陽花が植えられています。訪れたのは6月半ばで、ちらほら花が開いていました。見頃になると、ライトアップなどもあって、かなりの壮観となりそうです。

二の丸から三の丸へ向かう道も、なかなか味わい深い感じになっております。

三の丸には、馬に跨がる松尾芭蕉と弟子の曽良の像が建っていました。

案内石盤によれば、奥の細道紀行の途次、知人のいる黒羽に立ち寄ったようですね。

単に奥州街道を北上するだけなら大田原から白河に抜けて行ってしまうわけで、黒羽に寄るためには遠回りをしなければなりません。それを思えば、わざわざ芭蕉が遠回りしてまで黒羽に立ち寄ったことは、地元の人にとっては大きな誇りとなったのかもしれません。特に2005年に平成の大合併によって旧黒羽町が大田原市に編入された中、「黒羽」の名を冠する城址は今後も地域のアイデンティティを保つ上で重要な役割を果すのではないかと推察します。
(2018年6/14訪問)