【要約と感想】下園壮太『人はどうして死にたがるのか』

【要約】人がウツになるのは、感情のメカニズムが誤作動を起こすからです。原始時代には合理的だった感情のメカニズムは、現代社会では必要のないときに作動して、ウツを引き起す原因となります。そして、混乱した自分の状態に絶望して未来への展望を失ったとき、人間の心のメカニズムが誤作動を起こして、死に向かいやすくなります。

【感想】科学的に正しいかどうかはともかく、実践的な考えとしては、ナルホドと思いながら読んだ。説明原理には進化心理学的な背景があるのだろうが、まあ、科学的に言えば仮説ではある。とはいえ、仮説だろうがなんだろうが、実践的に役に立てば問題ないわけだ。混乱している当人や周囲の人に「説明原理」を与えるものとしては、けっこういい本なのかもしれないと思った。文章も分かりやすい。

下園壮太『人はどうして死にたがるのか』サンマーク文庫、2007年