長岡利貞『自殺予防と学校―事例に学ぶ』

【要約】自殺予防に関して、日本は遅れています。マスコミも無責任です。「寝た子を起こす」ようなことは、ありません。本書は具体的な事例を通じて、自殺予防のあり方について考えます。
自殺の形は様々です。マスコミが言うような一般事例に解消することはできません。子どもの自殺を予測することは簡単ではありませんが、関係者一同が力を合わせていく必要があります。

【感想】パラグラフのまとめに自殺に関連した短歌が置かれるなど、文学的な余韻があって、格調高い本であった。個別事例についても深く踏み込みつつ、現代の精神医学的知見だけでなく歴史的社会的背景についても目配りが行き届いており、著者の幅広い教養と知性を感じる。感じ入りながら読んだ。自殺予防に関してマイルストーンになり得る本なのかもしれないと、個人的には高く評価する。

長岡利貞『自殺予防と学校―事例に学ぶ』ほんの森出版、2012年