【要約と感想】阿原成光・瀧口優一編著『どうする小学校英語―英語ぎらいを出さないために』

【要約】財界主導で小学校に英語教育が導入されますが、お金も出さないし少人数制にもしない無責任のせいで、破綻するに決まっています。もし破綻しないとしたら、現場が無理をして頑張っているだけです。教育行政は本来果すべき役割を放棄しています。
それでも子どもたちが海外の事情を知って平和な世界を目指せるように、現場はいろいろ工夫して教材開発や授業に取り組んでいます。
本当に英語教育を良くしようと思ったら、一学級15人にして、学習指導要領の法的拘束性をなくし、教科書を教師が自由に採択できるようにすべきです。

【感想】まあ、英語教育は小学校から大学まで迷走している。大学入試の英語は、ほんと、どうするつもりなんだろう。このままの体制が続くと、小学校から英語嫌いが大量発生して、ますます日本人は英語コンプレックスをこじらせるだけに終わりそうだ。

10年前の本で、学習指導要領も一つ前のものが対象となっているが、危機的状況はさほど変わらない(というか悪化すらしているか)。小学校への英語教育導入時の混乱が垣間見える歴史史料としても意味がある本なのかもしれない。

阿原成光・瀧口優一編著『どうする小学校英語―英語ぎらいを出さないために』大月書店、2009年