【要約と感想】増井元『辞書の仕事』

【要約】実際に『広辞苑』や『岩波国語辞典』の編集に関わった経験を踏まえ、辞書作りの現場の具体的なエピソードを交えながら、多角的に辞書と言葉のおもしろさについて語っています。

【感想】まあ、日本語に関する蘊蓄の本は基本的におもしろいんだけど、著者の経験と学識が深ければ深いだけ、ますます楽しく読めるよなあと。特に本書は、抽象的な議論ではなく、地に足の着いた具体的な議論を着実に重ねていきながら、最終的には読者に抽象的な概観をもたらすところが、とても尊い。具体的なものに徹底的にこだわる辞書というテーマならではの面白さであった。

増井元『辞書の仕事』岩波新書、2013年