【要約と感想】増田ユリヤ・池上彰『偏差値好きな教育”後進国”ニッポン』

【要約】日本の教育を、いじめに関してフランスと、原子力教育に関してフィンランドと比較してみました。
いじめは道徳教育で解決できるわけはなく、「人権」の観点から考えましょう。原子力については、日本には情報公開と責任感が欠けています。

【感想】いや、これ、酷い本だなあと。まあ内容そのものは特に悪くないのだが、タイトルが酷い。端的に言って、詐欺だ。特に本文内で池上彰は日本の教育はさほど悪くないかもしれないと言っていたりして、「後進国」などと断罪していないし、いじめに関しても「ヨーロッパも同じ」と言っていて、「先進国」から学ぶ内容になどなっていない。極めて劣悪なタイトルをつけた編集者は、腹を切って地獄の業火に投げ入れられるべきだと思う。
内容自体は、ヨーロッパのリアルないじめ事情が垣間見えて、興味深く読める。SNSの普及によって、諸外国のいじめ問題が日本化してきているように感じた。「弱いものいじめ」ではなく「強いものいじめ」になってきているという点で。
原子力に関しては、言わずもがな、という感じにはなってしまう。相変わらずの隠蔽体質は、どうにかならないものか。というか、それは教育の問題なのか?

増田ユリヤ・池上彰『偏差値好きな教育”後進国”ニッポン』ポプラ新書、2017年