【要約と感想】榎本博明『間違いだらけの早期教育―その「英語」が子どもをダメにする』

【要約】小さい頃から英語をやらせると、かえってバカになります。英会話産業の陰謀に踊らされないようにしましょう。大人になってから英語を習得するのは、簡単です。というか、これから自動翻訳が進化するので、英語を話せるだけの人間は社会で必要なくなります。
本当に大事なのは、母語を大切にして、知力を磨くことです。AI時代に生き残るのは、知力の高い人間です。英語を喋れるだけのバカは、仕事を失います。

【感想】まあ、英語教育に関してはいろいろな意見があるよなあ、という。それこそ森有礼の英語国語化論から議論百出なわけで。
個人的には著者と同じく早期の英語教育には慎重な立場ではあるけれども、本書のようにエビデンス抜きで完全不要だと言い切る度胸もない。本書は、誰かに英語教育について聞かれときに、様々な立場の一つとして「こういう見解もあるよ」と示すための材料としては役に立つという感じか。そういう意味では、とても分かりやすい立場と表現であったようには思う。
まあ、なんにせよ、グローバル化がさらに進展するに決まっている状況で、英語とどう付き合っていくかという課題が消えてなくなることはない。どうなるにせよ、英語に関する話題が教育関係者のメシの種になり続けることは間違いないのであった。いやはや。

榎本博明『間違いだらけの早期教育―その「英語」が子どもをダメにする』青春新書インテリジェンス、2017年