【要約と感想】苅谷剛彦『学校って何だろう』

【要約】あたりまえを、疑ってみましょう。すぐに答えを出すのではなく、疑問を持って、立ち止まって考えてみましょう。
勉強をしなければいけない理由、試験のルール、校則、教科書、学歴社会など、あたりまえと思っていることが、実はあたりまえでもなんでもないことが見えてきます。
よく世間で「教育は○○であるべき」とか「教師は○○だ」とか言っている人たちがいますが、実はこの「あたりまえ」に捕らわれているような、単に視野が狭い人が多いはずです。

【感想】中学生向けに、教育社会学の第一人者が平易に語った学校論。さすがに分かりやすくて、見事なのだった。学者視点から見ると、簡潔ながらも扱うべき課題がしっかり網羅されていて、なかなか惚れ惚れとする。
新学力観や「ゆとり」やハイパーメリトクラシーについて触れられていないのは、本書発行が20年以上前だから仕方ないところではある。というか、そう考えると、この20年で教育や学校はえらく変わってしまったってことでもあるんだな。

苅谷剛彦『学校って何だろう』講談社、1998年