【要約と感想】加地健『学校を変えよう! 親の心配Q&A50』

【要約】校長先生が頑張れば、学校は変われます。

【感想】全国学力学習状況調査に唯一参加拒否した犬山北小学校の校長先生だった加地健の本なので、けっこう期待して読んだのだけど、ちょっと思ってた内容と違った。「学校経営」に関する具体的な形(たとえば校務分掌のあり方とか、中間管理職の位置づけ)にそこそこ関心があったのだけど、そういう経営論は一切なく、抽象的で精神論的なスローガンに着地しがちなのであった。特に対談相手の尾木直樹は、「日本はなにもかもダメで、外国サイコー!」という150年前から連綿と続くエビデンス無用の抽象論と粗暴な自由化論に終始して、何がしたいのか意味が分からないであった。
後半の保護者向けQ&Aは、そこそこ具体的で、教員の立場と面子を守りつつ保護者の要求にも応えようとするような、さすが校長経験者というバランス感覚が垣間見えた。こういうふうに保護者をさりげなく教育でき、教員を守ってくれる校長先生だと、学校経営全体も上手くいくのだろうなとも思ったのだった。

コミュニティスクールなどが広がり、各学校の裁量権が増え、校長のリーダーシップ次第で学校を変えられる時代になりつつある。校長のリーダーシップを考える上では、先駆的な一つの事例として参考になる本ではある。

加地健『学校を変えよう! 親の心配Q&A50』じゃこめてい出版、2012年