【要約と感想】千葉孝司『いじめは絶対ゆるさない―現場での対応から予防まで』

【要約】いじめを止めるのは先生の仕事です。解決を子どもに委ねるのは、単なる責任放棄です。教師集団として組織的に対応しましょう。
いじめ被害者は絶対に悪くありません。いじめは、加害者がいて初めて発生するものです。加害者への指導を徹底するのが、先生の仕事です。相手の気持ちを受けとめて信頼感を築きつつ、ダメなものははっきりダメと指導しましょう。
帯広市が取り組んでいるいじめ防止啓発資料「あつとほおむ」は、いじめ防止に効果的です。何が悪いかを事前に子どもたちと共有し、いじめを絶対に許さないという教師の姿勢を示すことで、未然に防止できます。
道徳の時間や特別活動で使用できる、いじめ防止のための指導案つき。

 加害者むけ被害者むけ傍観者むけ
あそびでもダメ安心してあおらない
つらい思いをさせるのはダメ伝えるつられない
友達がやっていてもダメ遠ざかるとめる
暴力はダメ誇りを持つ本気になる
おしつけはダメ大人に知らせる大人に知らせる
無視はダメ無理をしない無関心でいない

【感想】いじめの論理とか社会的背景には一切ふれず、先生が徹底的に現場でいじめに向き合うための実践書。責任感と覚悟をもって取り組んでいくべきことが分かる。特に加害者への指導を徹底することが大事だと強調されている。
まあ、現代社会でのいじめは単純ではないし、様々な社会的背景があって、教師にできることは現実的には限られていたりする。それでも、覚悟を決めて、やるしかない。教師として学級経営の方針を定め、自分の足場を固めるためには、実践的に役に立つ本だと思う。

千葉孝司『いじめは絶対ゆるさない―現場での対応から予防まで』学事出版、2013年