【要約と感想】『情報社会のいじめ問題―解決に向けた地域からのアプローチ』

【要約】いじめ研究は日本が最も進んでいるので、海外の研究を参照するのは愚かです。諸外国のbullyingは課題のある特定の子どもが行なう身体的な暴力を念頭に置いていますが、日本の「いじめ」は相手を精神的に追い詰めることが目的で、だれでも加害者や被害者になり得るところが決定的に異なります。
日本的ないじめは、情報社会(匿名性や常時性や島宇宙化)に親和的な特徴をもっており、加速度的に進化しています。教師や保護者は知識をアップデートして、プロバイダや関連諸機関と連携しながら対処を進めていきましょう。

【感想】スマホが普及する前の「iモード」が話の前提となっていて、2019年現在から見ると情報そのものはかなり古く、現状に対して直接的には参考にならない。モバイル黎明期の状況と対応を知るための古文書的な史料となっている感じはある。
とはいえ、ネットいじめに対する基本的な対処そのものは当時から変わっていない気もする。フィルタリング、啓蒙された親の積極的な関与、業者も含めた関係諸機関との連携、技術を逆手に取った人間関係の可視化だ。
私も技術革新に乗り遅れないよう、しっかり対応していきたい。

『情報社会のいじめ問題―解決に向けた地域からのアプローチ』ブックレット群馬大学、上毛新聞社、2011年