教育概論Ⅰ(中高)-課題について

課題の概要

・課題は評価に含まれます。
・授業ごとにいつでもひとつ提出できます。
・最低2回は提出することをお勧めします。
・800字程度にまとめてください。
・扱った対象と内容を精査して点数を決めます。

書き方の例

・ただの要約や感想ではなく、主張を裏付ける理由や根拠が示されていることが決定的に重要です。主張の中身というよりも、理由や根拠に説得力があるかどうかを評価します。
・説得力を上げるには、統計や具体例を用いながら、論理性と客観性を高める必要があります。
・引用の作法に則ってください。誰が、いつ、どこで言ったことかを明記することで、客観性が高まります。
※以下は、あくまでも一例です。他にも説得力ある文章を構成する作法はたくさんあります。
(1)起:本の著者の主張内容をまとめる。「著者は学校など必要ないと言っている。」
(2)承:著者の主張の根拠を示す。「その理由として、お金がかかりすぎることを挙げている。」
(3)転:著者が提示する根拠を吟味した上で、自分の主張内容を示す。「たしかにお金がかかるかもしれないが、しかし私は学校が必要だと考える。」「お金はかけるべきだが、しかし私も学校は必要ないと考える。」
(4)結:自分の主張の根拠を示す。「なぜなら学校でしか学べないことがあるからだ。」「なぜなら学校以外でも学べるからだ。」

ルーブリック

得点理解表現論理
0%本の内容とまるで関係ないことを言っている。日本語になっていない。支離滅裂である。
50%著者の主張の一部をおおまかには捉えている。言いたいことは分からなくもない。主観的には理由を示している。
80%著者の主張の全体を捉えている。的確な用語と言い回しを用いて表現できている。部分的に客観的な根拠を示している。
100%著者の主張の要点を判然明瞭に捉えている。主張内容を過不足なく表現できている。客観的な根拠を十分に示している。

課題の内容

・本を一冊読んで、レポートにまとめてください。
・ランクをつけてあります。あくまでも主観的な難易度であって、本のおもしろさや有意義さとは関係ありません。
C:予備知識なしでも分かる。10点満点。
B:多少の予備知識が必要。20点満点。
A:専門知識がないと理解しにくい。分量が多い。40点満点。
S:分量が多く、読み通すのに時間がかかる。80点満点。
※以下のリストは例にすぎないので、ここに載っていないものでも教育に関連する本であれば大丈夫です。

【教育理論に関わる本】
【C】田中美知太郎『ソクラテス』岩波新書、1957年
【B】アドルフ・ポルトマン/高木正孝訳『人間はどこまで動物か―新しい人間像のために』岩波新書、1961年
【B】苫野一徳『どのような教育が「よい」教育か』講談社選書メチエ、2011年
【B】林竹二著作集 1『知識による救い-ソクラテス論考』筑摩書房、1986年
【B】村井実『ソクラテスの思想と教育』玉川大学出版部、1972年
【B】プラトン/久保勉訳『ソクラテスの弁明・クリトン』岩波文庫
【B】村井実『道徳は教えられるか』国土社、1990年<1967年
【A】ファン・ヘネップ/綾部恒雄・綾部裕子訳『通過儀礼』岩波文庫、2012年<1909年
【A】エレン・ケイ『児童の世紀』小野寺信・小野寺百合子訳、冨山房百科文庫 24、1979年
【A】J.S.ブルーナー『教育の過程』鈴木祥蔵・佐藤三郎訳、岩波書店、1963年
【A】イヴァン・イリッチ『脱学校の社会』東洋・小澤周三訳、東京創元社、1977年
【A】ペスタロッチー/長田新訳『隠者の夕暮・シュタンツだより』岩波書店、1993年<1779,1799
【A】ジョン・ロック/服部知文訳『教育に関する考察』岩波書店、1967年<1693年
【A】フレーベル/長田新訳『フレーベル自伝』岩波書店、1949年
【A】ジョン・デューイ『学校と社会』宮原誠一訳、岩波書店、1957年
【S】プラトン/藤沢令夫訳『国家』〈上〉〈下〉、岩波文庫
【S】ジャン・ジャック・ルソー/今野一雄訳『エミール』上・中・下、岩波書店、1962年<1762年

【現代の教育に関わる本】
【C】横湯園子・世取山洋介・鈴木大裕編集『「ゼロトレランス」で学校はどうなる』花伝社、2017年
【C】苫野一徳『勉強するのは何のため?―僕らの「答え」のつくり方』日本評論社、2013年
【C】リヒテルズ直子×苫野一徳『公教育をイチから考えよう』日本評論社、2016年
【C】木村元『学校の戦後史』岩波新書、2015年
【C】今津孝次郎『教師が育つ条件』岩波新書、2012年
【C】新藤宗幸『教育委員会-何が問題か』岩波新書、2013年
【C】今井むつみ『学びとは何か―〈探究人〉になるために』岩波新書、2016年
【C】長尾真『「わかる」とは何か』岩波新書、2001年
【C】池上彰編『先生!』岩波新書、2013年
【C】志水宏吉『学力を育てる』岩波新書、2005年
【C】橘木俊詔『日本の教育格差』岩波新書、2010年
【C】泉谷閑示『反教育論―猿の思考から超猿の思考へ』講談社現代新書、2013年
【C】高橋哲哉『教育と国家』講談社現代新書、2004年
【C】諏訪哲二『学力とは何か』洋泉社、2008年
【C】落合陽一『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる―学ぶ人と育てる人のための教科書』小学館、2018年
【C】中村一彰『AI時代に輝く子ども―STEM教育を実践してわかったこと』CCCメディアハウス、2018年
【C】竹内薫『知識ゼロのパパ・ママでも大丈夫!「プログラミングができる子」の育て方』日本実業出版社、2018年
【C】松村太郎、山脇智志、小野哲生、大森康正著『プログラミング教育が変える子どもの未来―AIの時代を生きるために親が知っておきたい4つのこと』翔泳社、2018年
【C】石嶋洋平著・安藤昇監修『子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育』あさ出版、2018年
【C】増田ユリヤ『新しい「教育格差」』講談社現代新書、2009年
【C】芹沢俊介『「いじめ」が終わるとき-根本的解決への提言』彩流社、2007年
【C】加野芳正『なぜ、人は平気で「いじめ」をするのか?―透明な暴力と向き合うために』日本図書センター、2011年
【C】林竹二『教育の根底にあるもの―決定版』径書房、1991年
【B】苫野一徳『教育の力』講談社現代新書、2014年
【B】小玉重夫『学力幻想』ちくま新書、2013年
【B】小針誠『アクティブラーニング―学校教育の理想と現実』講談社現代新書、2018年
【A】岩波講座教育_変革への展望1『教育の再定義』岩波書店、2016年

【近代とリテラシーに関わる本】
【C】徳善義和『マルティン・ルター―ことばに生きた改革者』岩波新書、2012年
【C】アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ/清水由貴子訳『そのとき、本が生まれた』柏書房、2013年
【C】ラウラ・レプリ/柱本元彦訳『書物の夢、印刷の旅 -ルネサンス期出版文化の富と虚栄』青土社、2014年
【B】ジャック・アタリ/斎藤広信訳『1492 西欧文明の世界支配』ちくま学芸文庫、2009年<1992年
【B】宮崎正勝『海図の世界史―「海上の道」が歴史を変えた』新潮選書、2012年
【A】アンドリュー・ペティグリー/桑木野幸司訳『印刷という革命-ルネサンスの本と日常生活』白水社、2015年<2010年

【子どもに関わる本】
【C】榊原富士子・池田清貴『親権と子ども』岩波新書、2017年
【C】河原和枝『子ども観の近代 『赤い鳥』と「童心」の理想』中公新書、1998年
【C】服藤早苗『平安朝の母と子―貴族と庶民の家族生活史』中公新書、1991年
【B】柴田純『日本幼児史―子どもへのまなざし』吉川弘文館、2013年
【B】斉藤研一『子どもの中世史 (歴史文化セレクション)』吉川弘文館、2012年<2002年
【S】フィリップ・アリエス『〈子供〉の誕生―アンシァン・レジーム期の子供と家族生活』みすず書房、1980年
【S】ヒュー・カニンガム著、北本正章訳『概説 子ども観の社会史: ヨーロッパとアメリカからみた教育・福祉・国家』新曜社、2013年