教育学Ⅱ-8

■新松戸キャンパス 11/9(金)
■龍ケ崎キャンパス 11/12(月)

レポート課題

・締め切り:新松戸=1/18(金)、龍ケ崎1/21(月)。授業時間内に回収する。教務課や学務課には提出しないように。この日に来られないことがあらかじめ分かっている場合は、締め切り前に提出するよう工夫すること。
・形式:800字~2000字。手書き可。コンピュータ使用可。B5でもA4でも原稿用紙でもレポート用紙でも可。表紙無用。名前を忘れないように。
・内容:授業で扱ったトピックから興味・関心があるものを自分で選んで、分かったことや考えたこと、調べて深めたことなどを書く。2つ以上を組み合わせても良い。
・注意事項:剽窃が発覚した場合は、不可とする。

前回のおさらい

・学習指導要領1958年版:法的拘束力あり、道徳登場。
・逆コースと高度経済成長。

学習指導要領の変遷(2)

学習指導要領(1977年版)(1989年版)

・いわゆる「ゆとり教育」が開始されます。「個性」の尊重が合い言葉となります。
*「ゆとり教育」という言葉が意味するものについて、注意しましょう。見かけの教育現象ではなく、日本社会で本質的に進行していた事態に目を向けましょう。
・この時期(あるいは現在まで)の教育を理解するには、1984年の「臨時教育審議会」が決定的に重要です。

オイルショックと産業構造の転換

・1973年にオイルショックが起こり、高度経済成長が終わ、低成長時代に入ります。ただし日本だけ早期に復活します。Japan as No.1(1979年)からハイテク景気とバブル景気へ。
・重厚長大型産業(石油を莫大に使用する産業、少品種大量生産)から軽薄短小型産業(ロボットとコンピュータ、多品種少量生産)への転換に成功しました。
・生産主導から消費主導へ=マーケティングと宣伝広告の重要性。
・人材雇用の転換=アウトソーシング。終身雇用から流動的な雇用へ。
・知識観の転換=知識や技術の賞味期限の短縮。暗記型(知識の量)から検索活用型(思考力・判断力・表現力)へ。
・教育観の転換=「まじめ」から「個性」へ。
→1977年の学習指導要領改訂:「ゆとりある充実した学校生活の実現=学習負担の適正化」
→1989年の学習指導要領改訂:新学力観。個性。
・どうしたら「個性」を育てることができるのでしょうか?

臨時教育審議会

*中曽根康弘総理が1984年に総理府に設置し、教育改革ブームとなります。
・中央教育審議会(文部省)と臨時教育審議会(総理府)。内閣が直々に「教育改革」の前面に出てくるとはどういう事態なのでしょうか。
・キーワード=民営化、自由化、規制緩和、構造改革、小さな政府。
・電電公社→NTT(1985年)、専売公社→JT(1985年)、国鉄→JR(1987年)。
・自由化、民営化のメリット=公共部門の縮小による歳出削減。市場原理(競争原理)により、個性が伸張し、サービス全体の質が向上します。
・自由化、民営化のデメリット=後述します。

教育における市場原理

・学区制を廃止して学校選択制に転換しようとします。学校選択制の導入によって個性が伸張し、全体的にレベルアップします。
・たとえば、いじめはどうしたらなくなるでしょうか? 大学の授業がつまらないとしたら?
→バウチャー制度。私立学校も含めて競争原理に巻き込みます。
→学校民営化。すべてを競争原理に委ねます。

復習

・いわゆる「ゆとり教育」に関して、実際には臨時教育審議会(1984)による規制緩和と構造改革が進行していた事実を認識しておこう。

予習

・民営化のデメリットについて考えておこう。