教育課程の意義と編成-5

▼第5回=10/22

前回のおさらい

・教育課程編成のルール:教科と時間数は、学校教育法施行規則で決められています。
・教育基本法→学校教育法→学校教育法施行規則→学習指導要領の流れを押さえよう。

スコープとシークエンス

・教育課程を編成する時、「スコープ」と「シークエンス」を意識すると、体系的・合理的・計画的に作ることができます。
*スコープ:教える内容を適切な範囲・領域に区分します。
*シークエンス:教える内容を適切に配列します。

系統主義と経験主義

・教える領域を区分する時、大きくわけて2つの考え方「系統主義/経験主義」に分けられます。それぞれ長所と短所があります。
*系統主義:既存の学問体系から教える領域を演繹します。
*経験主義:子どもの生活から教える領域を帰納します。

教科構成のバリエーション

類型構成方法具体例
相関カリキュラム関係の深い複数の教科間で内容の関連を図る。「地理」と「歴史」をひとつにまとめる。
融合カリキュラム複数の教科から共通の要素を抽出し、新しい教科に再編する。「理科」と「社会」を融合して「生活科」を作る。
広域カリキュラム複数の教科を大きな領域に編成する。「政治学」「経済学」「歴史学」「自然地理学」「人文地理学」「倫理学」「教育学」「社会学」「哲学」「心理学」をまとめて「社会科」にする。
クロス・カリキュラム。横断カリキュラム。複数の教科の教員が連携して、お互いにほかの教科の内容との関連を図る。「安全」という観点から、「家庭科」「理科」「社会科」などを横断して学習する。
コア・カリキュラム中心となる基本教科を決め、周辺にほかの教科を関連させて配列する。「社会科」を中心とし、そこで必要になる知識や技能を国語科や数学で身につける。

教科等横断的な視点

・最新学習指導要領では「教科等横断的な視点」の重要性が前面に打ち出されています。
・今後は、教科をそれぞれバラバラで無関係な内容を教えるものと考えるのではなく、相互に関連したものとして理解する必要があります。

単元

・教える内容が何らかのまとまりとなっているとき、そのまとまりを「単元」と呼びます。
・シークエンスを考える時は、単元ごとのまとまりを考えると、配列しやすくなります。

学習指導要領(前文)

社会に開かれた教育課程

教育課程を通して、これからの時代に求められる教育を実現していくためには、よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し、それぞれの学校において、必要な学習内容をどのように学び、どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら、社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという、社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。(2頁)

・「これからの時代に求められる教育」とは何だろう?
・「よりよい学校教育」とは何だろう?
・「よりよい社会」とは何だろう?
・「資質・能力」とは何だろう?
・「社会との連携及び協働」はどう実現するのだろう?

大綱的な基準

学習指導要領とは、こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を大綱的に定めるものである。学習指導要領が果たす役割の一つは、公の性質を有する学校における教育水準を全国的に確保することである。また、各学校がその特色を生かして創意工夫を重ね、長年にわたり積み重ねられてきた教育実践や学術研究の蓄積を生かしながら、生徒や地域の現状や課題を捉え、家庭や地域社会と協力して、学習指導要領を踏まえた教育活動の更なる充実を図っていくことも重要である。(2頁)

・大綱的な基準であって、細かいところまですべて決められているわけではありません。→教育課程とは、各学校が、生徒や地域の実態を踏まえた上で、特色を生かして創意工夫を重ねて作るものです。
・ただし、すべてが自由であるわけでもありません。→全国的な教育水準の確保をしなければいけません。

生涯学習、学校間連携

幼児期の教育及び小学校教育の基礎の上に、高等学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら、生徒の学習の在り方を展望していくために広く活用されるものとなることを期待して、ここに中学校学習指導要領を定める。(2頁)

・「生涯学習」の理念と現実。知識の賞味期限切れが早くなったとき、どうしなければいけないでしょうか?
・これからの教育に必要なことは、単に「何かを学ぶ」のではなく、「学び方を学ぶ」ことです。

復習

・学習指導要領の「前文」(2頁)を読み込んで、現在の日本が目ざしている教育の方向性を理解しよう。

予習

・目次に目を通して、学習指導要領の構造についてそれぞれの教育領域の特質について考えておこう。
・学習指導要領総則3~4頁に目を通しておこう。