教育学Ⅱ(龍ケ崎)-9

■龍ケ崎キャンパス 12/4(月)

課題について

・締め切り:龍ケ崎2018年1/22(月)
・形式:800字~2000字。手書き可。コンピュータ使用可。B5でもA4でも原稿用紙でもレポート用紙でも可。表紙無用。名前を忘れないように。
・内容:授業で扱ったトピックから興味・関心があるものを自分で選んで、分かったことや考えたこと、調べて深めたことなどを書く。
・注意事項:剽窃が発覚した場合は、不可とする。

前回のおさらい

・物事を多面的・多角的に見るということはどういうことか。
・個性的なメンバーがチームを組んで協働すると、すごい威力を発揮するという理屈。
・「人間は手足を器用に操れるが、動物にはできない」という命題の吟味。「本能」と「文化」の違い。「型」を身につけるということ。
・「型」を身につけることが良いことかどうかは、「人間とは何か?」という問いを真剣に考えないと見えてこない。
→人間は「本能」によって動かされる部分が多いのか、それとも「文化」によって動かされる部分が多いのか?
→人間は「型」を身につけることで様々なことができるようになる動物なのか、それとも「型」というものは人間の自由を制限するものなのか?

これまでの作業の振り返り(2)

物事を深く考える

・これまでやってきたことは、一つは「物事を深く考える」ことのトレーニングである。
・単に「物事を深く考えよう」と言っても身につかないので、実際に作業を行いながら具体的に考えてみた。
・「人間とは何か?」という問いは、「物事を深く考える」うえで、極めて有効に働く。深く考えなければ分からないからである。
・しかし「人間とは何か?」という問いはレベルが高かったようなので、「スポーツとは何か?」という問いに変更した。

「浅い考え」とは?

・「浅い考え」とは、上っ面の答えだけを聞いて、知っていると勘違いすることである。答えが合っていればそれだけで満足する態度である。
・どうしてその答えになるのか、自分の言葉で理由を説明できないものは「浅い考え」である。
・「浅い考え」がダメなのは、社会に出て役に立たないからである。
・「浅い考え」がダメなのは、誰でも簡単に思いつく、個性のない考えだからである。

「深く考える」とは?

・「深く考える」とは、答えを聞いても、簡単には満足しないで、次の新しい問題を考えつくことである。
・「深く考える」とは、常に疑問を持って、「どうしてそうなるのか?」を考え続けることである。
・答えを出すことではなく、「問い」を思いつくことが「深く考える」ことである。
・社会に出て役に立つのは、答えを出す人間ではなく、「問い」を思いつく人間である。
・答えは誰にでも(コンピュータでも)出せるが、「問い」は個性的な人間にしか出せない。少なくともコンピュータには出せない。

指導者として気をつけること

・簡単に答えを与えるだけでは、なかなか成長しない。どうしてそのトレーニングが効果的なのか、わからずにただやるだけではほとんど効果が上がらない。自分で「理由」を説明できるとき、効果が上がっていく。
・自分で自分の課題に気がつけるかどうかが、成長できるかできないかのポイントとなる。自分で疑問に感じたことをコーチに質問できないような人間は、自分がどこで壁に当たっているかも認識できず、成長は望みにくい。常に「問い」を続ける者だけが、壁を発見できる。
・常に「問い」を生み出す姿勢を促す。「問い」を受け止め、許容する雰囲気を作る。「問い」を許さない姿勢は、成長をストップさせる。
・簡単に答えが見つかったと勘違いしているようなら、そこで成長は止まる。「本当にそうか?」と疑問を突きつける。

命題の吟味

人間には主体性があるが、動物は調教や命令によって動くだけ。

・達成したい「目的」が明確に定まっているとき、人は主体性を発揮する。逆に言えば、主体性を発揮するには、「目的」が決まっていなければならない。
・動物の目的は、ただ生きること。人間の目的は、ただ単に生きることだけだろうか?
・ただ単に生きるのではなく、「より良く生きる」ということを考えたときに、「目的」が生まれてくる。「より良く生きる」ということを考えない者に、主体性が生じることはない。
・「こうなりたい」という「理想の自分」があるときに、現在の自分に足りないものを自覚し、「より良く生きる」という動機が生まれる。「理想の自分」を持たないものに、「より良く生きる」という考えは生じない。
→「人間とは何か?」=動物と違って「理想の自分」というものを思い描き、今の自分に足りないものを自覚し、今の自分を主体的に乗り越え、一歩でも理想の自分に近づこうとするものである。

指導者として気をつけること

・主体性を引き出す教育とは?→「目的」を上から与えるのではなく、内側から引き出す。
・目的を引き出すためには?→「理想の自分」を思い描かせる。指導者が優れた有り様を示すことで、「自分をああいうふうになりたい」というモデルを示す。
・「理想の自分」に到達できると信じさせる。「理想の自分」に到達しようとする様々なチャレンジを応援し、協力し、助言する。
・目的を達成するための「手段」はいくらでも外から与えてよいが、「目的」そのものは外から与えるべきではないし、与えられない。