教育概論Ⅱ(中高)-10

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前回のおさらい

・自由化、民営化、規制緩和、構造改革のデメリット。
・2008年の学習指導要領改訂。PISAショック。

生きる力:学習指導要領(総則)3~4頁

・2017年の学習指導要領においても、引き続き「生きる力」の育成を目指す。

学習指導要領の構造(目次)

・総則
・各教科(国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭、外国語)
・特別の教科 道徳
・総合的な学習の時間
・特別活動

教育課程の編成

第1 中学校教育の基本と教育課程の役割
1 各学校においては、教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い、生徒の人間として調和のとれた育成を目指し、生徒の心身の発達の段階や特性及び学校や地域の実態を十分考慮して、適切な教育課程を編成するものとし、これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする。

・教育課程を編成し、教育を行う主語は「各学校」である。
・教育課程編成の上で留意すべきことは3つある。

「主体的・対話的で深い学び」と「生きる力」

2 学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において、第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、次の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り、生徒に生きる力を育むことを目指すものとする。

・「主体的・対話的で深い学び」とはどういう学びで、それを実現する授業とはどういう授業か?→後述
・「アクティブ・ラーニング」との関わり。
*生きる力=「知・徳・体のバランス」→「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」

確かな学力:学力の三要素

(1) 基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等を育むとともに、主体的に学習に取り組む態度を養い、個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること。その際、生徒の発達の段階を考慮して、生徒の言語活動など、学習の基盤をつくる活動を充実するとともに、家庭との連携を図りながら、生徒の学習習慣が確立するよう配慮すること。

・学力の三要素←学校教育法第30条2項

前項の場合においては、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない。

・学力の三要素と「PISAショック」。21世紀型スキル。

豊かな心

(2) 道徳教育や体験活動、多様な表現や鑑賞の活動等を通して、豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めること。
学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)をとして学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はもとより、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、生徒の発達の段階を考慮して、適切な指導を行うこと。
道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とすること。

・学校の教育活動全体→各教科でも道徳教育を行う。
・「要」とはどういうことか→補充・深化・統合。
・考え、議論する道徳。
・道徳の教科化。(1)教科書(2)評価(3)教員免許。

健やかな体:スポーツライフ

(3) 学校における体育・健康に関する指導を、生徒の発達の段階を考慮して、学校の教育活動全体を通じて適切に行うことにより、健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現を目指した教育の充実に努めること。特に、学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導、安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については、保健体育科、技術・家庭科及び特別活動の時間はもとより、各教科、道徳科及び総合的な学習の時間などにおいてもそれぞれの特質に応じて適切に行うよう努めること。また、それらの指導を通して、家庭や地域社会との連携を図りながら、日常生活において適切な体育・健康に関する活動の実践を促し、生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮すること。

(1)食育(2)体力(3)安全(4)健康
・各教科でも「健やかな体」を育成する。

学習指導要領(前文)

社会に開かれた教育課程

教育課程を通して、これからの時代に求められる教育を実現していくためには、よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し、それぞれの学校において、必要な学習内容をどのように学びどのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら、社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという、社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。(2頁)

これからの時代に求められる教育とは?

・知識基盤社会。knowledge-based society。新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増すような世の中。

我が国が科学技術創造立国の実現に向けて世界をリードし、成長し続けるためには、イノベーションを絶え間なく創造できる人材の育成が求められている。「知」を巡る国際競争の激化や知識基盤社会の進展等により、産業構造の変化も急速に進んでいる現代においては、多種多様な個々人が力を最大限発揮でき、それらが結集されるチーム力が必要とされている。(知識基盤社会が求める人材像)

・少子高齢化。→労働人口の減少。社会全体の活力の低下。
・グローバル化。→産業の空洞化。外国人労働者の増加。
・情報化。→ICTへの対応。AIの脅威。

求められる資質・能力とは?

ア)教科等を横断する汎用的なスキル(コンピテンシー)等に関わるもの
①汎用的なスキル等としては、例えば、問題解決、論理的思考、コミュニケーション、意欲など
②メタ認知(自己調整や内省、批判的思考等を可能にするもの)
イ)教科等の本質に関わるもの(教科等ならではの見方・考え方など)
例:「エネルギーとは何か。電気とは何か。どのような性質を持っているのか」のような教科等の本質に関わる問いに答えるためのものの見方・考え方、処理や表現の方法など
ウ)教科等に固有の知識や個別スキルに関するもの
例:「乾電池」についての知識、「検流計」の使い方

家庭や地域との連携

生徒が学ぶことの意義を実感できる環境を整え、一人一人の資質・能力を伸ばせるようにしていくことは、教職員をはじめとする学校関係者はもとより、家庭や地域の人々も含め、様々な立場から生徒や学校に関わる全ての大人に期待される役割である。(2頁)

学ぶことの意義?

・どうしたら「学ぶことの意義」を実感できるのか?
・生活との関わり。知識が実際に役立つという実感。

チーム学校

・教師の力を最大限に発揮できる組織を作ると同時に、学校外の専門家の力も有効に活用する。
・スクールカウンセラー、ソーシャル・スクール・ワーカー、部活動支援員など。
・校長のリーダーシップ。マネジメント機能の強化。
・教職員がそれぞれの能力を発揮することができる環境。

チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)

コミュニティ・スクール

・学校運営協議会が組織され、学校運営に意見が反映されている学校。(根拠:地教行法第47条の6)
(1)校長が作成する学校運営の基本方針を承認する。
(2)学校運営について、教育委員会又は校長に意見を述べることができる。
(3)教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会に意見を述べることができる。

コミュニティ・スクール2017(文部科学省パンフレット)

大綱的な基準

学習指導要領とは、こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を大綱的に定めるものである。学習指導要領が果たす役割の一つは、公の性質を有する学校における教育水準を全国的に確保することである。また、各学校がその特色を生かして創意工夫を重ね、長年にわたり積み重ねられてきた教育実践や学術研究の蓄積を生かしながら、生徒や地域の現状や課題を捉え、家庭や地域社会と協力して、学習指導要領を踏まえた教育活動の更なる充実を図っていくことも重要である。(2頁)

・大綱的な基準であって、細かいところまですべて決められているわけではない。→教育課程とは、各学校が、生徒や地域の実態を踏まえた上で、特色を生かして創意工夫を重ねて作るもの。
・ただし、すべてが自由であるわけでもない。→全国的な教育水準の確保。

生涯学習、学校間連携

幼児期の教育及び小学校教育の基礎の上に、高等学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら、生徒の学習の在り方を展望していくために広く活用されるものとなることを期待して、ここに中学校学習指導要領を定める。(2頁)

・「生涯学習」の理念と現実。知識の賞味期限切れが早くなったとき、どうするか。
・これからの教育に必要なことは、単に「何かを学ぶ」のではなく、「学び方を学ぶ」こと。

復習

・学習指導要領の「前文」(2頁)を読み込んで、日本が目ざしている教育の方向性を理解しよう。
・「生きる力」について説明できるようにしておこう。

予習

・「カリキュラム・マネジメント」という言葉を調べておこう。
・「主体的・対話的で深い学び」について調べておこう。