【要約と感想】保坂幸博『ソクラテスはなぜ裁かれたか』

【要約】ソクラテス裁判は宗教裁判でした。それがこれまで分からなかったのは、ぜんぶキリスト教のせいです。

【感想】うーん。講談社現代新書は他の新書に比べてハズレ率が高い気がしているのだが。ソクラテスやプラトンの全体像を宗教の観点から捉えるという発想自体は、オルフェウス教の影響やアポロン信仰の点から考えても特に悪いというわけではないんだけれども。それはそれとして、本書はソクラテスの宗教について、なに一つ明らかにしていないと思うなあ。ソクラテスがシャーマンならシャーマンで別にかまわないわけだけれども、「ソクラテスの無限の欲望」と言い出されてしまうと、もはやポカーンとなるしかない。

保坂幸博『ソクラテスはなぜ裁かれたか』講談社現代新書、1993年