教職基礎論(栄養)-8

▼短大栄養科 6/10(土)

前回のおさらい

・「生きる力」と「知識基盤社会」。
・OECDのPISA調査の枠組み=キーコンピテンシー。
・いわゆる「ゆとり教育」の意義。

学習指導(前回のつづき)

ゆとり教育

・個性を伸ばす。どのようなメカニズムで個性を伸ばすのか? 個性を伸ばすのは、そもそも良いことか?
・格差が拡大する。どのようなメカニズムで格差が拡大するのか? 格差が拡大するのは、そもそも悪いことか?

教育における競争の原理

学区制:教育委員会によって、児童生徒が通う公立学校が一つ指定される制度。
学校選択制:児童生徒が通う学校を保護者が選ぶことができる制度。選ぶことができる範囲は自治体ごとに異なる。
教育バウチャー制度:私立学校も選択肢に入れることによって、さらに競争を促進する。
学校民営化論:民間会社に学校運営を任せることで、教育を自由競争の原理にゆだねる。
構造改革特別区域:法律等の規制によって自由な運営が不可能であった事業を、特別に可能にする地域を設ける。カリキュラムの自由化、学校運営主体の弾力化、小中一貫教育の推進等。

・「規制緩和」「構造改革」「自由化」「民営化」=自由競争を促進することによって全体の水準を上げていく狙い。
・しかし一方で、自由の罠。強者が弱者を食い物にすることで、ますます格差が拡大する懸念がある。
→「個性の尊重」と言っても、指し示す具体的な内容が立場によってまったく異なる。具体的にどのようなことを指して言っているのか注意して検討する必要がある。

教科書

・「自由採択制度/検定制度/国定制度」
・教科書とは、「小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及びこれらに準ずる学校において、教育課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童又は生徒用図書であり、文部科学大臣の検定を経たもの又は文部科学省が著作の名義を有するもの」
*学校教育法第34条:小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。
・(1)著作編集→(2)検定→(3)採択→(4)発行→(5)無償給与

教科書検定

・発行者から検定申請された申請図書は、教科書として適切であるかどうかを文部科学大臣の諮問機関である教科用図書検定調査審議会に諮問されるとともに、文部科学省の教科書調査官による調査が行われる。審議会での専門的・学術的な審議を経て答申が行われると、文部科学大臣は、この答申に基づき検定を行う。教科書として適切か否かの審査は、教科用図書検定基準に基づいて行われる。

教科書採択

・採択の権限は、公立学校については、所管の教育委員会に、国・私立学校については、校長にある。
・共同採択:採択に当たっては、都道府県教育委員会が「市町村の区域又はこれらの区域を併せた地域」を採択地区として設定する。

教材

・教育内容(教育課程で計画された、児童生徒に身につけさせたい知識や能力)を、具体的な授業や学習活動を通じて子供たちに身につけさせるために、様々な文化財の中から精選し、操作可能なように構成されたもの。
・教科書の他、市販のドリルなどの副読本、教師手作りのプリント、パワーポイント、マルチメディアなど様々な形をとる。
・様々な教材を、教師が使いやすいように、学習指導要領に即して、厳選して配列したものが教科書。

教材研究

・子供たちが教育内容を身につけるために、教育内容の本質との関連で教材の特徴や長所を把握し、具体的な授業展開の過程でどのように教材を活用するのか、子供たちの発達段階や個性等に合わせて計画を立てる。

学習評価

・目的→計画→実践→評価
・評価が正しく行われなければ、目的がどこまで達成できたか、改善点がどこにあるかなどを把握することができない。
・子供たちの到達度を把握すると同時に、教師の指導が適切に行われているかどうかをチェックする。
・絶対評価と相対評価。それぞれの特質、メリットとデメリット。
指導要録:学校教育法施行規則第24条第1項。各学校の校長は指導要録を作成しなければならない。「学籍に関する記録」と「指導に関する記録」。
内申書:基本的に指導要録の写し。
通知表:特に法的根拠を持たない。主に家庭との連絡手段。

復習

・学校をめぐる制度について、自分なりに考えてみよう。
・「教科書」に関する制度について押さえておこう。
・教育における「評価」の役割について、自分の経験を相対化(先生の立場に立って)しながら考えてみよう。

予習

・道徳の教科化について、調べよう。